パリやマルセイユで相次ぐ衝突と全土での店舗被害
24日にパリで行われた大規模デモでは、一部でデモ隊と警官隊の衝突が発生したことをYahoo!ニュースが伝えている。その1週間前の17日には、パリ市内のあちこちで車が炎上し、鎮圧を目指す警官隊との激しい衝突が繰り広げられた。デモは首都パリだけにどどまらず、北部の中心都市リールや南部最大のマルセイユにも波及した。一部の参加者は暴徒化し、携帯電話グッズの店や宝石店などに押し入って手当たり次第に商品を略奪した。フランス全土での被害店舗数は少なくとも3000店舗にのぼるとみられている。パリ市内のスーパーのマネージャーは「店をめちゃくちゃにして権利を勝ち取るって?従業員には家族がいるんだぞ。恥を知れ!」と強い怒りを露わにしている。さらに中部リモージュでは、1883年に建てられた19世紀の市庁舎が炎上する被害も出た。
生活費高騰への恐怖が動かした55万人の参加者
フランス全土で55万人が参加したとされる17日の大規模デモでは、市民の生活苦が直接的な原動力となった。21歳のデモ参加者は「今の生活費高騰に本当に恐怖を感じている。とても耐えられない価格になってしまった」とYahoo!ニュースの取材に語っている。別の19歳の参加者も「私たちが闘う理由は生活環境が過酷すぎるし、ガソリン代が高すぎるからです」と訴えた。教育環境の不満から始まった運動に対し、物価高に苦しむ一般市民が共鳴する形で参加者が急増し、抗議活動の規模が拡大した。
学校インフラの破綻と教育環境の改善要求
一連の騒動の発端は、9月から始まった教員や高校生による抗議活動だった。6日に取材に応じた高校生は「うちの学校はインフラが破綻しています。古い校舎で、暖房も不十分です」と実態を明かしている。パリ郊外の高校を撮影した映像には、校舎の中をネズミが這いまわり、トイレの床には水がたまっている様子が記録されていた。劣悪な教育環境の是正を求める声が、日々の生活費の高騰に悩む人々の不満と重なり、大規模なデモ行進へとつながっていった。
EU主要国で最も高い財政赤字と政府の懐事情
デモが激化する背景には、フランス政府の極めて厳しい財政状況がある。政府の財政赤字はGDP比で5%を超えており、EU主要4か国の中で最も高い水準を記録している。インフレへの対応や公共インフラの修繕を求める声が高まる一方で、国側の財政的な余裕は乏しく、根本的な解決に向けた有効な手立ては見えていない。教育現場の改善や物価高対策を求める市民と、財政再建を迫られる政府との間の溝は深く、事態の収束に向けた道筋は不透明なままとなっている。