世界 トランプ氏とプーチン氏がロシア産軽油の供給で合意 米財務省は来年4月まで制裁を緩和し中間選挙前の燃料価格高騰抑制を狙う
アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は9日、ロシア産軽油の世界市場への供給で合意しました。米財務省は制裁を来年4月まで緩和し、ロシアは直ちに30万トン以上の供給を開始します。中間選挙を控えた米国内の燃料価格高騰を抑える狙いですが、ウクライナ側は強く反発しています。 トランプ大統領が表明したロシア産軽油の供給合意 アメリカのトランプ大統領は9日、ロシアのプーチン大統領との電話会談で、ロシア産ディーゼル燃料(軽油)の供給を受けることで合意したと明らかにしました。news.tv-asahi.co.jpによると、ロシア側は直ちに30万トン以上の軽油を世界市場に供給し、11月以降は供給量をさらに拡大する見通しです。トランプ大統領は自身のSNSで「世界中の軽油価格は記録的な速さで下落するだろう」と投稿し、記者団に対しては「率直にプーチン大統領に感謝したい」と述べました。朝日新聞の報道では、供給量は11月に50万トン、その直後に100万トンへ増え、製油所の状況次第では合計300万トンに達する可能性があるとされています。 米財務省が実施する対ロシア制裁の一時緩和 今回の合意に伴い、アメリカ財務省は9日、ロシア産軽油を対象とした経済制裁を来年4月7日まで一時解除すると発表しました。読売新聞によると、ロシアは7月から国内の供給不足を防ぐ目的で軽油の輸出を禁止していましたが、今回の合意を受けて副首相が直ちにこの措置を解除する方針を示しました。米国側は、ウクライナ侵略を理由にエネルギー輸入禁止や金融資産凍結などの制裁を科してきましたが、今回の決定はそれらの一部を例外的に認める措置となります。 中間選挙を前にした燃料価格抑制の狙い なぜ今、軽油なのか。エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表は、アメリカ国内での軽油価格が今年に入り2倍近くまで高騰している点を指摘しています。news.tv-asahi.co.jpの取材に対し、松尾氏は「石油製品の価格上昇は選挙の争点になりかねない」と分析しました。また、10月はアメリカにとって農業の本格的な収穫時期にあたります。トラクターや輸送トラックで軽油が大量に消費されるため、価格を抑えられなければ食料品価格の上昇を招く懸念がありました。朝日新聞は、農家やトラック運転手ら国民の不満が高まる中、11月の中間選挙を前に価格上昇に歯止めをかけることがトランプ政権の最優先事項であると報じています。 写真:dメニューニュース ウクライナの反発と米露の複雑な駆け引き 今回の制裁緩和に対し、ウクライナ側は即座に反発を強めています。読売新聞によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は「(ロシアに)戦争を続ける能力を与えるだけだ」と非難しました。背景には、トランプ大統領がこれまでゼレンスキー氏に対し、ロシアの製油所への攻撃をやめるよう求めていた経緯があります。明海大学の小谷哲男教授は、news.tv-asahi.co.jpの取材に対し、「トランプ大統領はウクライナの攻撃が軽油価格高騰の原因だと主張してきたが、聞き入れられなかったため、今回の緩和はウクライナ側に伝えなかった」と解説しました。さらに小谷氏は、今後ロシア側が金融制裁の緩和などを追加要求してくる可能性を指摘しています。 写真:朝日新聞 日本国内の生活への影響と今後の見通し 日本への影響について、エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表は「国民生活への影響も少し緩和される傾向にはなる」と述べつつも、今回供給される量では大きな効果は期待できないとの見方を示しました。ジャーナリストの柳澤秀夫氏は、news.tv-asahi.co.jpの番組内で、トランプ大統領の支持率が約30%まで低下している現状に触れ、この決定が支持回復を狙った政治的動機に基づくものであると分析しました。一方で、燃料価格高騰に苦しむ他国からは「正直ほっとした」との声も上がっており、国際社会の受け止め方は分かれています。今後ウクライナがロシアの石油施設への攻撃を継続した場合、ガソリンなど他の製品にも制裁緩和が広がるのか、国際的な対露包囲網の行方が注目されます。 写真:読売新聞