税理士の料金には、全国共通の定価がありません。2002年4月からは、税理士それぞれが自分の責任で報酬額を決めるしくみになっているからです。ですから「相場はいくらか」を一つの数字で探すより、料金表に何が含まれているかを確かめ、同じ条件で見積もりを取って比べるほうが確実です。そこに、頼みたい仕事の経験があるか、話しやすく連絡が取りやすいか、正式に登録された税理士かという三つの確認を加えれば、選び方で大きく失敗することはかなり防げます。
税理士が引き受ける仕事の範囲
税理士の本来の仕事は、税理士法で「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の三つと定められています。国税庁の税理士制度の説明によると、税理士または税理士法人でない者はこれらの業務を行うことができず、違反すると罰則が適用されます。
もう少し具体的にいうと、税務代理は、あなたに代わって確定申告や青色申告の承認申請をしたり、税務調査に立ち会ったりすることです。税務書類の作成は、確定申告書や相続税申告書など、税務署に出す書類をつくること。税務相談は、税金のことで迷ったときに相談に乗ることで、日本税理士会連合会(日税連)の案内では「事前」の相談が有効だとされています。これらに付随して、記帳の代行や財務書類の作成といった会計業務も引き受けますし、e-Taxで申告書を代理送信することもできます。
つまり、日々の帳簿づけから申告、税務署とのやりとりまでを一つの窓口に任せられるのが税理士です。一方で、相続した土地や建物の名義変更(相続登記)は司法書士の仕事なので、相続の手続きは税理士だけでは完結しません。
料金が事務所ごとに違う理由
以前は、税理士の報酬には上限の定めがありました。日税連の「税理士制度のあゆみ」によると、2001年(平成13年)の税理士法改正で「報酬の最高限度額に関する規定の削除」が行われています。近畿税理士会の資料では、「税理士の業務の報酬に関する規則」が2002年3月31日に廃止され、同年4月1日以降は、各税理士が自由な意思のもと、自己の責任に基づいて報酬額を算定して請求するのが原則になったと説明されています。
自由といっても、根拠のない金額でよいわけではありません。同じ資料は、報酬には合理的な算定根拠が必要で、依頼する人への説明責任があるとしています。料金の内訳を質問するのは失礼なことではなく、むしろ当然の確認です。遠慮せずに聞いてください。
料金表は「含まれている作業」で読み比べる
税理士事務所の料金表は、毎月払う「顧問料」、年に一度の「決算料」、相続税申告のような単発の報酬に分けて書かれていることが多いものです。ただ、同じ名前の料金でも事務所によって中身が違うため、金額だけを横に並べても正しく比べられません。
顧問料
毎月決まった額を払って、相談や月々の帳簿のチェックを受ける契約の料金です。確かめたいのは、面談や訪問が月に何回あるか、記帳を自分でするのか事務所が代行するのか、電話やメールでの相談に回数の制限があるか、売上や取引の量が増えたときに料金がどう変わるか、といった点です。とくに記帳代行を含むかどうかは、事務所の手間が大きく違うところなので、必ず確認しましょう。
決算料
決算書と申告書をつくる年1回の報酬です。顧問料に含まれているのか、別に請求されるのかを確かめてください。月額が安く見えても決算料を足すと年間の総額が逆転することがあるので、比べるときは「1年間に払う合計」に直して並べるのがコツです。年末調整や各種の届出が別料金になっていないかも、あわせて見ておくと安心です。
相続税申告
相続税の申告は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があると国税庁が案内しています。期限が決まっているぶん、依頼は早めが基本です。報酬の計算のもとになるのが遺産の総額なのか、土地の数や相続人の人数によって加算があるのか、土地の評価や追加の調査で料金が増えるのはどんなときかを、最初の見積もりの段階で聞いておきましょう。
初回の相談で聞いておきたいこと
初回の相談は、税理士があなたの状況を知る場であると同時に、あなたが相手を見きわめる場でもあります。次のような質問を用意しておくと、話が具体的になります。
- 自分と同じ業種や規模、同じ種類の申告をどのくらい担当しているか
- 見積もりの金額に含まれる作業と、別料金になる作業はどれか
- 実際に担当するのは税理士本人か、事務所のスタッフか
- 連絡の方法(電話、メール、チャットなど)と、返事が来るまでの目安
- 使っている会計ソフトや、資料の受け渡しの方法
- 契約をやめるときの手続きと、途中で解約した場合の料金
手元にあると話が早いのは、直近の決算書や確定申告書の控え、売上と経費のおおまかな数字です。相続の相談なら、財産の一覧と亡くなった日がわかるものを持っていきましょう。数字がそろっているほど、見積もりのぶれは小さくなります。
説明が専門用語ばかりでわかりにくい、質問への答えがあいまいだ、という印象は、契約したあとのやりとりでもそのまま続くことがあります。料金と同じくらい、話しやすさも判断の材料にしてください。
登録は公式の検索サイトで確かめられます
税理士として仕事をするには、日税連の税理士名簿に登録しなければなりません。日税連の税理士情報検索サイトでは、登録されている税理士と税理士法人を探すことができます。同サイトには、税理士と税理士法人は事務所の所在地を管轄する税理士会に所属し、日税連に登録されていると記されています。気になる事務所が見つかったら、ホームページや名刺の名前と照らし合わせておくと安心です。
当サイトの税理士の一覧では、東京と大阪の税理士事務所を探せます。利用した人の口コミも手がかりにしながら、候補を絞ったうえで、上の質問を投げかけてみてください。
