健康 カリフォルニア州の人工大理石加工労働者で致死性肺疾患の塵肺が急増
カリフォルニア州で人工大理石のカウンタートップの加工に従事する労働者の間で、致命的な肺疾患である塵肺(じんぱい)の感染例が急増しています。州保健当局や専門家らの分析によると、2019年から2026年6月までの確認件数は592件に達し、若い世代での発症や急速な症状の進行が深刻な懸念となっています。 人工大理石、別名「クオーツ」と呼ばれる素材の加工現場で働く労働者の健康被害が、カリフォルニア州を中心に深刻な社会問題となっています。天然の石英を粉砕し、ポリエステル樹脂や顔料で固めて作られるこれらの製品は、90%を超える高濃度の結晶質シリカを含んでいます。作業員がスラブ板を切断、研磨、削る際に発生する微細な粉じんが肺の内部を傷つけ、不可逆的で致死的な呼吸器障害を引き起こしていることが、複数の専門機関による報告で明らかになりました。 急増する症例と患者の深刻な実態 被害を受けている労働者の大部分はラテン系の男性で、全体の約98%を占めています。特にロサンゼルス郡はその半数以上の症例が集中しており、サンフェルナンドバレー地域には多数の加工ショップが密集する国内最大の中心地となっています。 患者の診断時における中央値は46歳、死亡時の平均年齢は52歳と、従来の鉱業や建設業でみられた塵肺患者と比較して著しく若年化しているのが特徴です。初期の索引例となった32歳の労働者は38歳で呼吸不全により死亡しており、短い曝露期間でありながら症状が急激に悪化する点が医療関係者から強く警戒されています。 人工大理石の危険性と専門家的見解 ジョージ・ワシントン大学のデヴィッド・マイケルズ氏は、この人工大理石のカウンタートップという製品について、その問題点が明らかになってきたと指摘している。 同氏はまた、これは我々にとって必要のない製品であり、カリフォルニア州の何百人もの労働者、そしておそらくは国中の何千人もの労働者の肺を傷つけていると述べている。 2016年に連邦の職業曝露基準が制定された時点では、人工大理石の加工産業はまだ新しく、その粉じんがもたらす過酷なリスクに対する認識や調査が欠如していました。過去10年間でその危険性が表面化するに至り、医療専門家や労働団体からはより強い規制を求める声が高まっています。 州の規制強化と現場の低いコンプライアンス率 カリフォルニア州政府はこうした危機的状況に対応するため、段階的に法整備を進めてきました。2025年に施行された州上院法案(SB 20)では、州公衆衛生局の監視・教育機能を拡大し、塵肺を州内の強制報告疾患に指定しました。これにより、事業者は切断や研磨の際に呼吸用保護具の提供や水による粉じんの抑制措置が義務付けられ、安全対策の不備を言い訳にする抜け道が塞がれました。 Photo: CIDRAP 査察を実施したショップの94%で違反が確認され、そのうち20%には緊急の業務停止命令が下されました。さらに、これまでに査察を受けた約140店舗は、州内にある推定1,342店舗の加工事業所のわずか10%程度に過ぎず、圧倒的な取り締まりの難しさが浮き彫りになっています。 国際的な動向と残される課題 水を用いた切断ツールや適切な換気システムは維持管理に莫大な費用がかかるうえ、推奨される対策を講じたとしても基準を超える粉じんの曝露を防ぎきれないケースが報告されています。このような状況を打破するため、医療団体からはより根本的な対策を求める意見が提示されています。例えば、医学会が指摘するオーストラリアの動向では、1%を超える結晶質シリカを含む人工大理石の全国的な禁止措置がすでに導入されており、米国においても同様の強硬なアプローチが必要かどうかが議論の焦点となっています。 The Lung Disease That's Killing California Stonecutters これまでの法的措置や啓発活動にもかかわらず、現場の労働者は依然として深刻な健康リスクに直面しており、迅速な監視体制の徹底と実効性のある労働環境の改善が求められています。