ラグビーの元ニュージーランド代表マア・ノヌー選手が南アフリカ・ダーバンで行われたシャークス対オールブラックス戦の事前セレモニーで、同国の伝統的なウォーダンス「カパ・オ・パンゴ」を単独で披露しました。44歳のベテランが見せた歴史的な敬意の表現は、世界中のファンの感動を呼んでいます。
キングズ・パークで起きた異例のソロハカ
南アフリカの強豪シャークスに所属するマア・ノヌー選手が、かつて栄光を築いた母国の代表チームを相手に、試合前のピッチで異彩を放ちました。大雨に見舞われたキングズ・パーク・スタジアムで行われた一戦は、オールブラックスが8トライを奪い54対0で勝利を収めました。
しかし、スコア以上に世界中のラグビーファンの記憶に刻まれたのは、試合前のセレモニーでした。ニュージーランド代表が伝統の「カ・マテ」を演じた後、かつて同国代表として100キャップ以上を獲得した44歳のノヌー選手が、シャークスチームの先頭にたった一人で歩み出しました。
現地メディアの報道によると、南アフリカのチームがハカに対して別のハカで応じた事例はこれまで存在せず、今回が歴史上初めての出来事となりました。ノヌー選手が演じたのは、かつて自身も纏った黒いジャージの象徴である「カパ・オ・パンゴ」でした。
「チームや家族、そして自分自身を代表して、仲間たちとオールブラックスに応えることが正しいことだと思いました」 マア・ノヌー、シャークス選手(SuperSport TV報道より)
直前まで悩んだ末の決断と元チームメイトの許可
今月はじめ、シャークスの若い選手たちの育成を担うため、指導者としての役割で同クラブに加入したノヌー選手ですが、チームの相次ぐ負傷者や代表招集の影響により、急遽リザーブとしてベンチ入りすることになりました。試合前日、古巣との対戦にあたってハカにどう向き合うべきか、ニュージーランド代表のアシスタントコーチ陣と話し合いを行っていました。

「今週の話題が自分やオールブラックスとの歴史だけに偏ってほしくなかったので、最初は断ろうと思いました。しかし、タナ・ウマガやタマティ・エリソンと話し、チームや家族を代表して敬意を示すために許可を求めました」 マア・ノヌー、シャークス選手(Sky Sport NZ報道より)
オールブラックスのヘッドコーチを務めるデイヴ・レニー氏も、事前にノヌー選手の意向を把握していたことを明かしています。
「マアのハカが行われることは事前に知っていました。彼は前夜にディフェンスコーチのタナ・ウマガのもとを訪れ、敬意を払った上でハカへの正しい応答について相談していたのです」 デイヴ・レニー、オールブラックス ヘッドコーチ
レジェンド同士の交錯と現役続行への執念
試合が始まると、前半から主導権を握ったオールブラックスが着実に得点を重ねました。試合終盤の残り20分、ノヌー選手はベンチからピッチへと送り出され、かつての仲間たちと激しく体をぶつけ合いました。ピッチ上では、かつてのレジェンドが若手選手たちに混じって懸命に走る姿が見られました。
「試合時間が長くて少し座りすぎたので、もっと十分にウォームアップをしておくべきでした。最後の30分間でオールブラックスが展開力を発揮したので、私は必死に追いかけることになりました」 マア・ノヌー、シャークス選手(Planetrugby報道より)
歴史的な一戦が残した余韻
54対0という大差の勝敗以上に、この試合はラグビーという競技における絆と深い敬意の象徴として語り継がれることになりました。ソーシャルメディア上では、多くのニュージーランド代表ファンがノヌー選手の行動に賛辞を送り、「かつての英雄はいつまでも私たちの誇りである」といったメッセージが寄せられています。

シャークスでの短期間の契約を通じて、再び世界最高峰の舞台に立ったノヌー選手。激しい雨のダーバンで響き渡ったその声は、国境や所属チームの垣根を越えて、ラグビー界の歴史に新たな1ページを刻みました。