韓国の国家情報院は9月30日の国会情報委員会で、北朝鮮の金正恩総書記の娘、キム・ジュエ氏の身長が160センチ、体重が50キロ超であると報告した。父である金正恩氏の健康状態とともに、一族のプロポーションを詳細に追跡する狙いとは何か。
国情院が注目する「白頭山の血統」の健康指標
北朝鮮の最高指導者とその一族の身体情報は、韓国の国家情報院にとって重要なインテリジェンスである。9月30日の国会情報委員会報告によると、金正恩総書記の娘であるキム・ジュエ氏は身長160センチ、体重は50キロを超えているという。同時に金正恩氏本人は体重140キロ台の超肥満状態にあると報告された。デイリーNKジャパンの高英起氏は、こうした詳細な監視について「戦争状態にある相手国のトップや関係者の健康を常に調べておくことは国情院の重要な仕事」と指摘する。内部情報が限られる状況下でも、公開された写真などを医療関係者が分析することで、身長や体重、肌のツヤなどから健康状態を推測することは可能だという。
デニス・ロッドマン氏が明かしたジュエ氏の存在
キム・ジュエ氏の存在が世界に知られたのは2013年まで遡る。当時、北朝鮮を訪れて金正恩夫妻と面会した元バスケットボール選手のデニス・ロッドマン氏が、「金正恩氏には女の子の赤ちゃんがいる」と明かしたことがきっかけだった。その後、ジュエ氏が公の場に初めて姿を現したのは2022年のことである。当時9歳ごろとみられるジュエ氏は、父と共にミサイル発射の視察に同行した。現在、ジュエ氏は13〜14歳になっていると推測される。
「ファーストレディー以上」の特別待遇
公開の場でのジュエ氏の扱いは、他の一族とは一線を画している。高英起氏によると、金正恩氏は写真撮影の際にジュエ氏を中央に立たせたり、軍の高官をかしずかせたりするなど、「ファーストレディー以上の扱い」をしているという。こうした演出は、彼女が単なる子供ではなく、次代の権力構造において特別な位置を占めていることを示唆する。
後継者をめぐる国情院の分析と新たな事実
コリア・レポート編集長の辺真一氏は、ジュエ氏を取り巻く後継者構想について次のように解説する。
- 国情院は当初、ジュエ氏には兄が存在し、その子が後継者になると推測していた。
- 男の子用の玩具を調達しているとの情報があったが、これは誤りであったことが判明した。
- 2017年には金正恩氏に別の子供が生まれていることが確認されている。
- 2018年の南北首脳会談で金正恩氏本人が「私には娘がいる」と発言しており、下の子も女である可能性が高い。
これらの状況から、白頭山の血統を引く長子であるジュエ氏が、後継者として披露されるタイミングが近づいているとの見方が強まっている。
「第一書記」という肩書と今後の展望
ジュエ氏にはすでに「第一書記」という肩書が与えられているとの情報もある。祖父の金正日総書記が、息子の金正恩氏を後継者と周囲に告げたのは、正恩氏が8歳の時だったといわれる。その歴史的経緯に照らせば、現在のジュエ氏の年齢は、後継者として公に披露されても不思議ではない時期にある。今後、北朝鮮がジュエ氏に対してどのような政治的役割を与え、権力の継承をどのように進めていくのか。彼女の成長と体格の変化を含めた健康状態は、引き続き朝鮮半島の情勢を読み解くための重要な指標であり続ける。