中国の習近平国家主席は、向こう5年間で米国の若者10万人を中国に招く事業を表明したが、コロナ禍や地政学的緊張を経て米国人学生の中国留学は大幅に減少しており、目標倍増の実現性には疑問が生じていると、Forbes JAPANが報じた。.
ホワイトハウスの歓迎式典で表明された米国人招致計画の全貌
中国の習近平国家主席は9月に米国を国賓として訪れ、ホワイトハウスで開かれた歓迎式典のスピーチにおいて、米国の若者を交流や学習のため中国に招く事業を拡大すると発表し、中国側によれば以前の目標は予定よりも早く達成されたといい、今回の取り組みでは目標人数を倍に増やして向こう5年間で10万人の米国の若者を中国に受け入れる計画を掲げ、「中国と米国の関係の希望は両国の国民にあり、未来は若者にある」と語った。.
最新データが示す米国人留学生の低迷とコロナ禍の影響
米国際教育研究所(IIE)の年次留学調査「オープン・ドアーズ」の最新データによると、2023から2024学年度に単位取得を目的に中国へ留学した米国人学生は、わずか1,749人にとどまった。前年度の469人からは増加したものの、コロナ禍前の2018から2019年度にあった11,639人を大幅に下回っている。中国への留学者数の減少傾向はコロナ禍の前から始まっており、制限の間に中国が入国を厳しく制限したことでさらに拍車がかかった。
地政学的緊張が教育交流の再構築に及ぼす深刻な障壁
中国による入国制限が解除された後も、地政学的な緊張や米中関係の悪化を背景に、教育交流を元の水準へ再構築することは極めて難しい状況が続いている。中国への留学を検討する米国人の間では、両国間の政治的緊張や関係全般をめぐる懸念が実際に留学するかどうかの決断に大きな影響を与えている。米国の学生にとって中国への留学を取り巻く環境はますます複雑になっており、中国側が再び若者たちの関心を高められるのか不透明感が漂っている。
米中間の教育交流における著しい不均衡の実態
両国間の留学生数の不均衡は非常に際立っている。2023から2024年度に中国へ単位取得目的で留学した米国人が2,000人にも満たなかったのに対して、2024から2025年度に米国の大学で学ぶ中国人は265,919人前後にのぼった。米国全体の学生のうち外国での学位取得をめざす学生の割合はもともと非常に少なく、中国からの留学生数のほうがその数も圧倒的に多いという事実がある。
若い米国人の減少がもたらす経済・外交政策上の懸念
米国にとって中国は経済および外交政策上のきわめて重要な国である。しかし、留学生の数が減少していることにより、現地の実情を肌で知る若い米国人が減っていることも深刻に懸念されている。中国側が目指す10万人の若者招致計画が、こうした複雑な政治環境や実態のなかでどのように受け止められ、推進されていくのかが今後の焦点となる。