コンゴ民主共和国で過去最速のペースで拡大しているエボラ出血熱の感染確認数が1万件を超えた。承認されたワクチンが存在しない希少なブンディブギョ株が原因となっている。感染者の半数近くが死亡し、5カ国に感染が拡大する中、対応にあたる関係者は深刻な物資不足、継続する紛争、地域社会からの根強い不信感に直面している。
コンゴ民主共和国における感染者数が1万人の大台を突破
コンゴ民主共和国(DRC)で拡大を続けるエボラ出血熱の流行により、確認された感染者数が1万人を超えた。
今回の流行は、5月15日に最初に確認されて以来、これまでにコンゴ民主共和国、ウガンダ、フランス、ケニア、ナイジェリアの5カ国で症例が報告されており、ブンディブジオ・ウイルス(BVD)と呼ばれる希少な株が原因となっている。この株に対しては、承認されたワクチンや治療薬がこれまでのところ存在しない。
コンゴ民主共和国の保健省のデータによると、確認された感染者数は10,060人に達し、死亡者は4,887人に上る。これにより、これまでの確認された感染者の約半数が死亡したことになり、同国の歴史上で最も急速に拡大し、かつ最も致死的なエボラ流行となっている。
隣国や欧州への地理的拡大と監視の課題
ウイルスは国境を越えて広がりを見せており、これまでにコンゴ民主共和国を含めて5カ国で感染例が確認されている。ウガンダ、ケニア、ナイジェリア、そしてフランスにおいて感染例が報告された。ナイジェリアでは10月20日に首都アブジャで初の輸入症例が確認され、当局が濃厚接触者の追跡を進めている。

ケニアでは、最初の輸入症例の既知の接触者である8人の追加症例を含め、合計9人の感染例と1人の死亡が報告されている。保健当局は、ウガンダからケニアへ国境を越える旅行者の体温チェックなどの水際対策や、安全で尊厳のある埋葬の実施などを進めている。
専門家や国際機関は、多くの初発事例が症状発現後や移動から長期間経過した後に確認されている点について、監視体制の緩みや遅れを指摘している。コンゴ民主共和国国内では、新規感染者の約80%が、医療当局が監視下に置いている接触者の外側から発生しており、把握できていない感染経路が存在している実態を示している。
紛争と医療体制の逼迫がもたらす影響
コンゴ民主共和国の東部における対応チームは、武装勢力による紛争、劣悪な道路状況、そして誤情報や不信感に起因する住民からの反発や暴力に直面しながら活動を行っている。Ituri州のエピセンター(震源地)周辺をはじめとする一部の保健ゾーンでは、治療センターが圧倒的な負荷を受け、医療スタッフが不足する事態となっている。

さらに、エボラ出血熱の流行は、小児の定期予防接種や通常の医療サービスをも混乱させている。一部の州では妊産婦の死亡率が倍増したほか、子どもたちの就学が中断されるなど、紛争と貧困に苦しむ地域社会にさらなる打撃を与えている。昨年時点で全人口の約25%が食料不安に直面していた同国において、脆弱な人口層が感染リスクに晒されている。
アフリカ各国首脳による協調と今後の対応
感染の広がりを受けて、アフリカ疾病予防管理センター(Africa CDC)は、大陸全体の協調的な対応を強化するための緊急会合を招集した。Africa CDCのトップであるDr.
Ebola is crossing borders.
Dr. Jean Kaseya, head of Africa CDC
また、世界保健機関(WHO)のアマ・アンシア(Dr Anne Ancia)DRC国駐在代表は、非常に治安の悪い地域において、初期には地域社会の懸念や反発が強く存在したことを指摘している。WHOアフリカ地域の地域ディレクターであるモハメド・ジャナビ(Dr Mohamed Janabi)は、ウイルスがもはや一箇所にとどまらず地域的な懸念事項であると強調し、恐れが生存への障壁となる前に、より早期に人々にアプローチし、安全なケアを身近に提供し、信頼を強化しなければならないと述べた。

国際赤救援委員会(IRC)やケア・インターナショナル(CARE)などの人道支援組織も、Ituri州やNorth Kivu州などの影響を受けた地域において、地域リーダーやボランティアの訓練を通じた啓発活動、誤情報の抑制、早期発見の支援、および医療従事者の保護を進めている。現場の状況や健康上の懸念に関する具体的な相談や支援の必要性については、医療専門家や公衆衛生機関などの資格を持つ担当者に確認することが推奨される。