米連邦控訴裁判所は7日、ドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスの敷地内に建設を進めている4億ドル規模の舞踏会場について、議会の承認なしに建設を続けることはできないとの判断を下した。裁判所は、大統領の権限には制限があるとし、建設工事の一時差し止めを命じた。
議会の承認を求める連邦控訴裁の判断
コロンビア特別区連邦控訴裁判所は金曜日、ホワイトハウスの敷地内における大規模な舞踏会場建設をめぐり、2対1の多数決で建設工事の差し止めを支持する判決を下した。この判断は、ホワイトハウスの歴史的保存を訴える団体による提訴を受けたものだ。
裁判所は判決文の中で、舞踏会場の建設が政策として望ましいかどうかは本件の争点ではないと強調した。その上で、大統領が独自の判断でホワイトハウスの構造を変更することは認められないと指摘している。
「巨大な舞踏会場を建設すべきかどうかは議会が決定すべきことであり、行政による独断で決めるべき問題ではない」 連邦控訴裁判所、判決文より
裁判所はさらに、被告側である現政権に対し、訴訟の進行中において議会の承認を得ずに建設を進めることは憲法および法律に照らして許されないと明言した。この判決には14日間の猶予期間が設けられており、トランプ政権は最高裁判所への上訴を検討している。
東翼の解体と「国家安全保障」をめぐる対立
今回の建設プロジェクトは、2025年10月にホワイトハウスの東翼が突然解体されたことで大きく動き出した。この東翼は1902年に建設された歴史的建造物であった。トランプ大統領側は、この舞踏会場には防空シェルターや医療施設、軍事的な最高機密施設が含まれており、大統領とその家族、スタッフを守るために不可欠であると主張している。
政府側の弁護士は、これらの施設がドローンや弾道ミサイル、生物学的脅威からホワイトハウスを守るために必要であると法廷で主張した。一方、歴史保存団体側は、舞踏会場の不在が国家安全保障上の緊急事態に該当するわけではないと反論し、裁判所はこの主張を支持した。

「これらのアップグレードや改修は、大統領とその家族、スタッフ、そしてホワイトハウス自体を守るために不可欠であり、プロジェクト全体がそこから派生している」 政府側弁護士、法廷文書より
リチャード・レオン連邦地方裁判所判事は、すでに今年3月に舞踏会場の地上部分の建設を停止するよう命じていた。ただし、レオン判事は地下の防空壕や軍事施設、医療施設に関連する工事については継続を許可しており、政権側は「プロジェクト全体が安全保障上の例外に該当する」と主張して全面的な建設再開を求めていた。しかし、控訴裁はこの政権側の解釈を否定した。
トランプ大統領の反応と今後の見通し
舞踏会場の構想は、トランプ氏が不動産王として知られていた2011年まで遡る。その後、2016年の大統領選でも同プロジェクトを掲げ、2025年に再選を果たした後に再び計画が加速した。しかし、今回の上訴審判決により、プロジェクトの行方は司法の手に委ねられることとなった。

パトリシア・ミレット判事とブラッドリー・ガルシア判事は判決文の中で、ホワイトハウスは「国民の家」であり、大統領は一時的な居住者に過ぎないと指摘した。彼らは、議会が承認し、納税者が費用を負担した歴史的建造物を、大統領が私的な資金を使って独断で解体した前例は過去にないと強調している。
今後2週間の猶予期間中に政権側がどのような法的措置を講じるか、また最高裁がこの事案をどのように取り扱うかが、ホワイトハウスの景観と歴史的価値を左右する焦点となる。