地球深部で重力結合や電磁気的結合など3つのメカニズムが相互作用し、数十年単位で自転速度を加速・減速させていることが、科学誌『Nature』に掲載された最新の研究で判明した。カナダのアルバータ大学で博士課程に在籍するHuifeng Zhang氏らの研究チームが、過去60年間の観測データから突き止めたと、米ギズモードが報じた。
地球の自転速度を変動させる3つのメカニズム
地球の自転速度はあらゆる要因の影響を受けて変化しており、1日を24時間として便宜上扱っているものの、その全容はいまだ解明されていなかった。科学者たちは研究対象とする時間軸に応じて調査を進めており、大気や海洋の変化は短期的な変動に作用し、月との潮汐相互作用は数百万年かけて起こる現象として知られている。しかし、数十年単位という中期的な時間軸での変化は長らく謎のままであった。この課題に挑むため、筆頭著者のHuifeng Zhang氏と共著者で指導教官のマチュー・ダンベリー氏は、1988年の先行研究を参考にして調査を行った。
先行研究は、地球の核とマントルの間での角運動量の相互作用が自転に影響を与える可能性があることを示していた。二人はこうした相互作用に影響を与えた可能性のある要素として、重力結合、電磁気的結合、地形的結合の3つを特定した。重力結合は内核とマントルの間に働く重力的なトルクであり、電磁気的結合はマントル最下部にある特定の層の導電率や厚さに関連する。さらに地形的結合は、核とマントル境界の地形に沿って生じる凹凸によって変化する仕組みとなっている。
統計モデルで判明した重力結合の大きな影響力
研究チームは過去60年間の実際の観測データと照らし合わせながら、これらの要因をあらゆる組み合わせで評価するための統計モデルを実行した。その結果、地球の自転の変化に最も大きな影響を及ぼしているのは重力結合であることが判明した。重力結合が微小な変化を生み出し、他の2つのメカニズムが緩衝材としての役目を果たしているという。ほかの2つはこうした変動に対する緩衝材としての役目を果たしているようだと、論文は指摘している。
観測データによると、1970年代初頭から2021年にかけて、地核に起因するメカニズムによって1日の長さが数ミリ秒ほど変化したことが確認された。数十年で数ミリ秒という変化は1億年で5時間程度に相当し、微小ではあるが確実に捉えられる数値である。全体として、地球の1日は時間の経過とともに短くなる傾向にある。こうした物理的特性はまだ十分に解明されていない部分が多く、今回の発見は地球深部の特性に関する貴重な制約条件を提供するものとなる。
直接観測が困難な地球深部に迫る新しいアプローチ
地球深部の領域は直接観測することが極めて困難であるため、さまざまな情報が組み合わさることでより整合性のある全体像が浮かび上がってくる点に興味深さがあると、アルバータ大学のZhang氏は米ギズモードに語っている。地球の自転変動には非常に多くの要因が関与しており、今回の成果も絶えず変化する地球の挙動を理解するための大きなパズルの1ピースに過ぎない。
現在、Zhang氏らのチームは、これらのメカニズムが1日の長さに見られる6年周期の変動にも関与している可能性について調査を続けている。精度が向上した観測データと地球の自転や内核の運動に関する測定値を組み合わせることで、地表から数千キロメートル下の運動が1日の長さを微妙に変化させるプロセスについて、全体像をさらに詳しく明らかにしたい考えだ。地球の自転におけるごくわずかな変化が、足元から数千キロメートル下で起きているプロセスについてどのような情報を与えてくれるのか、今後の研究の進展が注目されている。