スウェーデンの王立科学アカデミーは7日、今年のノーベル化学賞を東京理科大名誉教授の硤合憲三氏とパリ南大のアンリ・カガン氏の2人に授与すると発表した。生物の体を作るアミノ酸などが一方の物質に偏る謎を解く「硤合反応」を発見した功績が評価されたもので、生命の起源解明や創薬への応用が期待されている。
東京理科大の硤合憲三氏ら2人にノーベル化学賞
スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2025年のノーベル化学賞を東京理科大名誉教授の硤合憲三氏(76)と、パリ南大のアンリ・カガン氏の2人に贈ると発表した。選考委員会が開いた会見では、硤合氏と電話がつながる場面もあった。授賞決定の知らせをどこで受けたのかと記者に問われた硤合さんは、「近くで買い物中でした」と小さく笑った。さらに「今日は人生のなかで最もうれしい日の一つになりました。この分野にはたくさんの研究者がいます。ノーベル賞という形で認められたことがとてもうれしいです」と喜びを語った。
右手と左手の非対称性という長年の謎に迫る
今回の受賞理由は「硤合反応」と呼ばれる不斉自己触媒反応の発見である。右手と左手のように鏡映しとなっている構造の化学物質は、生物がもつアミノ酸や糖類などでは一方の物質が大半を占めている。これは長年の化学界における謎であった。硤合氏は、もともとほぼ同量であっても、わずかな偏りから自ら触媒となり、一方だけが自己増殖する有機合成反応を見いだした。この現象は、生命に不可欠な物質がどのように生まれてきたのかを解明する手がかりとなる。また、新しい医薬品の製造技術など創薬にもつながると期待されてきた。
今年の賞金総額と今後のスケジュール
今年のノーベル賞の賞金は、1200万スウェーデンクローナ(約1億8900万円)に設定されている。この金額は昨年の授与額から約1割増額されたものとなる。今年の受賞者に対する実際の授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日にスウェーデンの首都ストックホルムで開催される予定である。世界的な研究成果を残した両氏が、冬の授賞式の舞台に立ち、正式に栄誉を受けることになっている。