米司法省の民事権利部門が人員不足に対処するため、過激派や陰謀論の流布者など従来なら不適格とされた経歴を持つ人材を採用していることが、調査報道で明らかになった。.
職員急減のなか進む異例の人事採用
かつては優秀な法律家を引き付ける磁石のような存在だった司法省の民事権利部門は、組織の空洞化を埋めるため採用基準を引き下げざるを得なくなった。最近加入した130人の弁護士の中には、過去の経歴や発言から従来の連邦職であれば不採用になっていたはずの人物が多数含まれている。裁判記録やソーシャルメディアの投稿、インタビューに基づく約12人の新規採用者の精査によれば、一部の採用者は極端な党派性や陰謀論、さらには奇妙な発言の足跡を残している。
司法省の人事部門や背景調査オフィスはすべての応募者を審査のうえ承認しているものの、省内からは連邦法執行機関の基準に懸念を示す声が上がっている。元当局者らは、政権の政治的アジェンダを最優先する姿勢が、かつての法執行機関としての信頼性や厳格なスクリーニング体制を揺るがしていると指摘する。
物議を醸す主要な幹部・担当者の経歴
新政権下で要職に抜擢された人物のなかには、社会的に大きな議論を呼んできた経歴の持ち主が並んでいる。新たな「銃器修正条項(第2修正案)」部門のトップ代行に就任したバリー・アーリントン氏は、進化論や同性婚に公然と反対し、昨期の米最高裁判所の前でコンバージョン・セラピー(転換療法)プログラムを弁護したことで知られる活動家である。
また、中間選挙を控えて同省が強硬な姿勢を示している投票セクションの臨時責任者には、カリフォルニア州で検察官を12年務めたエリック・ネフ氏が起用された。ネフ氏のロサンゼルス郡での検察官キャリアは紛糾の末に終わっている。
2022年、中国のサーバー上に投票所労働者のデータを保管していたソフトウェア会社の幹部に対する起訴を検察当局が取り下げた後、ネフ氏は行政休職処分となった。上司らはその事件における不規則性を挙げた。郡側はその紛争を解決するため、会社側に500万ドルの高額な和解金を支払うことになった。 エリック・ネフ氏の経歴に関する報道路線
ネフ氏は2024年に職に復帰したものの、郡に対して内部告発者としての申し立てを行っており、その法的係争は未解決のままである。
選挙ハッキングの過去を持つ法律家の起用
さらに、ミネソタ州の予備選挙当日の8月、ミネアポリスの投票所を訪れた司法省職員の中に、自らも過去に罪を犯した経歴を持つ人物が含まれていたことが映像で確認されている。保守派の弁護士兼実業家であるデヴィッド・マイケル・レヴィン氏だ。
レヴィン氏は、政治的なパフォーマンスとしてフロリダ州リー郡の選挙システムに二度も不正侵入を試みた過去を持つ。重罪に問われた末、2016年9月に2件の軽罪で司法取引に応じ、2年間の保護観察付きで20カ月の実刑(※編集部注:ソースの表記に基づき20日間の禁錮刑)に服した経歴がある。
レヴィン氏の過去の犯罪歴自体は、司法省が軽罪犯の採用を解禁する7年ルールの要件を満たしていたため採用の直接の妨げにはならなかったものの、批判派は危険な前例を作ったと警鐘を鳴らしている。裁判所の動向もまた、レヴィン氏の信頼性に暗い影を落としている。
連邦裁判所は、ディスカバリー(証拠開示)の期限内における文書の隠蔽など、標準的な裁判手続きに対する「悪意ある意図的な無視」があったとして、レヴィン氏とその配偶者に制裁を科した。同年8月、裁判所は不実表示と民事共謀があったと認定し、レヴィン氏に対して20万ドルを超える損害賠償と弁護士費用の支払いを命じている。