国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、製油所の被害や中東情勢の混乱を背景に、世界のディーゼル燃料の供給不足が2027年半ばまで継続する見通しです。先物価格の動向から、1月にかけて1ガロンあたり約6ドルという高止まりした店頭価格が維持されると示唆されており、物流や農業部門への財政的圧迫が続くことになります。
世界的なディーゼル燃料の供給逼迫は、当初の予想を大きく超えて長期化する見通しだ。国際エネルギー機関(IEA)は、ガソイルおよびディーゼルの市場における需給の引き締まりが2027年に入っても継続するとの見解を示している。ウクライナによる無人機攻撃を受けたロシア国内の製油所が損傷を負い、稼働容量が低下したことが背景にある。これによりロシアからの輸出拡大が制限され、グローバルな供給回復への道筋が険しくなっている。
米国における店頭価格は1ガロンあたり平均6.30ドルに達しており、1年前の水準から約72%急騰している。この記録的な高値は、昨年9月22日に記録した同6.5276ドルの過去最高値に迫る水準であり、物流コストや農業用機械の稼働コストに重くのしかかっている。さらに、レギュラーガソリン価格も1ガロンあたり4.33ドルとなっており、消費者の負担は増大の一途をたどっている。
先物市場が示す約6ドルのディーゼル価格と1月の動向
先物市場の動向と通常の小売マージンを勘案すると、1月にかけて1ガロンあたり約6ドルの水準が維持される見通しだ。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の1月限先物は卸売価格ベースで1ガロンあたり4.9344ドルを記録し、1日だけで21セントの上昇となった。エネルギー関連のアナリストやデータ推計によると、小売価格と卸売価格のギャップ(税金、輸送費、ガソリンスタンドのマージンを含む)を加味すると、約6ドルの高値圏は2027年1月頃まで維持されると試算されている。
また、エネルギー情報局(EIA)が10月6日に発表した短期エネルギー見通し(Short-Term Energy Outlook)では、10月以降は6ドル台の価格が和らぎ、2027年を通じては4.50ドル前後で推移するとの予測も示されている。しかし、いずれの予測においてもディーゼル価格が2027年を通じて4ドルを下回らない状況が続く見込みであり、エネルギー価格の高止まりが長期化する公算が大きくなっている。
ロシア産ディーゼルの米国市場一時開放とその限定的な影響
米国政府がロシア産燃料の輸入制限を一時的に緩和し、サプライチェーンの混乱を和らげようと試みたものの、根本的な需給改善には至っていない。米国や中国からの追加輸出によって一定の供給不足は相殺されたものの、世界全体のディーゼル輸出は日量70万バレルの減少を記録し、前年同期比で60%を超える縮小となった。
経済協力開発機構(OECD)加盟国のガソイルおよびディーゼル在庫は7月時点で約5億6500万バレルにとどまっており、紛争前の水準を約5%下回っている。ロシア製油所の被災によって、市場アクセスが一時的に緩和されたとしても、実際の生産量を直ちに増やすことは困難な状況にある。
国際エネルギー機関(IEA)はオイルマーケットレポート(10月14日発表)の中で、「ガソイル市場の需給バランスは2027年に入っても逼迫した状態が続き、中東からの製品供給の回復に左右される。それが叶わない場合、さらなる需要削減と、それに伴う多大な経済的コストが必要になる可能性がある」と述べた。
在庫の本格的な回復が見込めない理由と経済的影響
国際エネルギー機関のレポートによれば、失われた在庫の大幅な建て直しが実現するのは「2027年下半期より前は困難」とされており、市場の逼迫状態は当面の間継続する。東海岸地域における留出油在庫は過去5年平均を大幅に下回る水準で推移しており、冬の暖房需要期に向けてさらなる在庫の減少が懸念されている。
この長期化する燃料不足は、物流、建設、農業など幅広い産業に打撃を与えている。世界全体の石油需要は2026年に日量260万バレル減少すると予測されており、そのうち約4分の1をディーゼルが占めるとみられている。しかし、需要の減少が直ちに価格の下落に結びつくわけではなく、物理的な供給制約が続く限り、高コスト体質が世界経済のインフレ圧力を押し上げ続ける構造となっている。