2026年10月16日、『餃子の王将』を運営する王将フードサービスの社長射殺事件をめぐる判決公判が開かれ、殺害を実行したとされた特定危険指定暴力団・工藤会系石田組幹部の田中幸雄被告(59)に対し、無罪判決が言い渡されたとfnn.jpが報じた。長年の謎に包まれた事件は、実行役とされる被告が無罪となったことで、新たな展開を迎えている。
工藤会系組幹部の田中幸雄被告に無罪判決
2026年10月16日、王将フードサービスの社長だった大東隆行さん(当時72)が射殺された事件の判決公判が開き、特定危険指定暴力団・工藤会系石田組幹部の田中幸雄被告(59)に無罪が言い渡された。.
浮上していた福岡の男性実業家と京都府警の捜査
事件発生当初から、捜査線上の中心には王将側とトラブルを抱えていたとされる福岡在住の男性実業家が存在していた。その人物とは、福岡を拠点にゴルフ場など多くの事業を展開していた実業家の上杉昌也氏(82)である。大東隆行さんが射殺された事件において、周囲から黒幕と疑われていた上杉氏は、テレビ西日本の取材に対して「京都府警の刑事が、はっきり私だとっていうふうなことを、もう、指摘されましたから」と当時の状況を語っている。なぜ福岡に本拠を置く工藤会系組幹部の男が京都の事件で逮捕されたのか、その背景や接点についての説明は裁判では明らかにされていない。
第三者委員会が指摘した不適切な不動産取引の全貌
上杉昌也氏が世間の大きな注目を浴びるきっかけとなったのは、王将フードサービスが設置した第三者委員会の報告書であった。2016年3月に開かれた記者会見において、第三者委員会は「過去に第三者との間で、貸付金や不動産取引等に関する不適切な取引があった」と公表した。京都でも事業を展開し、王将の創業者一族と長い付き合いがあった上杉氏をめぐり、約10年間で合わせて14件もの取引が実施されていた。その総額は260億円に上り、うち170億円が回収不能に陥ったと報告されている。
総額260億円にのぼる取引と経済合理性の欠如
第三者委員会の報告書は、王将側と上杉昌也氏の間で行われた一連の取引について「経済合理性が明らかではない」と厳しく断じた。具体的には2000年、王将側が上杉氏側の関係企業から福岡市中心部のオフィスビルを12億3700万円で購入したものの、後に5億2000万円という低価格で再び売却していた。この他にも京都祇園のビルや福岡県内のゴルフ場内ホテル、ハワイの高級住宅などが相次いで売買の対象となっていた。巨額の資金が動いたこれらの取引の実態は、経営の透明性を揺るがす重大な問題として浮上した。
大東隆行社長による関係清算と悲劇までの1か月
2000年に王将フードサービスの社長に就任した大東隆行さんは、上杉昌也氏との不透明な関係を断ち切り、一連の取引の清算に踏み切った。大東さんは再発防止委員会を立ち上げ、社内で進められていた不適切な取引に関する詳細な調査報告書をとりまとめた。その報告書が完成したわずか1か月後、大東さんは自宅前で凶弾に倒れることになった。事件の重要参考人として警察の捜査線上に見え隠れしていた上杉氏は、自身の身の潔白を主張するため、テレビ西日本のインタビューに直接応じている。