米防衛スタートアップのキャステリオンは2026年10月26日、米空軍研究所からの契約変更を受け、低コストの極超音速ミサイル「ブラックビアード」をF-16戦闘機へ統合する作業を開始したと発表した。米海軍がF/A-18E/Fへの統合や最大2億ドル分の生産発注を進める中、新たなプラットフォームへの対応が動き出した。
キャステリオンがF-16へのブラックビアード統合に着手
米防衛スタートアップのキャステリオンは10月26日、公式X(旧ツイッター)を通じて米空軍研究所からの契約変更に基づき、F-16戦闘機へのブラックビアード統合作業を始めたと発表した。ブラックビアードは、多連装ロケットシステム(MLRS)や高機動ロケット砲システム(HIMARS)で使用される「PrSM Increment4」の能力の約80%を大幅にコストダウンした極超音速ミサイルである。大気圏内をマッハ5以上の速度で機動飛行するため、予測可能な軌道で飛翔する弾道ミサイルよりも迎撃が困難だと言われている。
米海軍によるF/A-18E/Fへの統合と量産発注
米海軍は8月下旬に開催されたテイルフック・シンポジウムで、空中発射バージョンのブラックビアードを披露した。さらに9月には、最大2億ドル分となる444発分の生産を発注し、ブラックビアードを搭載して飛行するF/A-18E/Fの様子も確認されていた。米海軍は同ミサイルの空中発射バージョンについて、早期運用能力(EOC)の達成に向けた試作50発の納入に関する契約もキャステリオンから獲得している。
Castelion has been awarded a contract modification to its existing work with the Air Force Research Laboratory to begin Blackbeard integration activities with the F-16. We are grateful to the Air Force for their trust.Aim High. pic.twitter.com/UerIcDG6Jx
独自サプライチェーンによる固体ロケットモーターの調達
ブラックビアードの生産における主要なボトルネックとなる固体ロケットモーター(SRM)について、キャステリオンは自社で製造を行っている。特にSRMを構成する材料を航空宇宙分野のサプライヤー以外から調達している点が特徴で、石油採掘向けのフラッキング用精密管などを活用し、伝統的なサプライチェーンとは異なる独自の供給体制を構築している。これにより、従来の防衛産業とは異なるスピードでの開発とコスト削減を実現している。
急成長を遂げるキャステリオンの企業価値
キャステリオンは、2026年8月に実施したシリーズCの資金調達で10億ドルを集めることに成功した。これにより同社の企業価値は、起業からわずか4年間で130億ドル、日本円にして約2兆円に達している。この成長スピードは、起業から5年で企業価値が180億ドル、約2.8兆円に達したヘルシングに迫る勢いを見せている。
Coming soon to a theater near you…BLACKBEARD!@USPACOM @CENTCOM @PAEAviation pic.twitter.com/KgBtIqdf8I
F-16の追加で広がる空中発射方式の展望
ブラックビアードを運搬するプラットフォームにF-16が加わることで、空中発射方式の攻撃手段として一気にメジャー化する可能性がある。MLRSやHIMARSといった地上発射方式と合わせると、同ミサイルの需要はさらに膨れ上がる見通しだ。なお、今後主力となる見込みのF-35Aへの統合については、Block4との兼ね合いもあり、相当先の話になるとみられている。