日本語版
最新ニュース
世界

英作家サリー・ルーニーがフェイバー社からの英国での出版継続を断念

サリー・ルーニーさんの出版継続断念とフェイバー社の判断 若い世代の現実を描きミレニアム世代の代弁者とも評されるアイルランド出身の作家サリー・ルーニーさんが、英国の大手出版社フェイバーからの出版継続を断念した。作品は日本語を含む約50か国語に翻訳され、世界で600万部以上を売り上げている。フェイバーは今月中旬、「今後は作品を販売できない」と声明を発表した。現下の法規制では印税を支払えないとし、ルーニーさんとの合意の上での決定だと説明している。 英国テロ法とパレスチナ・アクション支援を巡る問題 フェイバーが懸念を示した理由は英国のテロ法にある。ルーニーさんは英国に拠点がある団体「パレスチナ・アクション」を熱心に支援してきた。同団体は街頭デモに加え、英空軍基地に侵入して戦闘機にスプレーを噴射するなどしており、英政府は暴力を容認しているとして昨年にテロ組織に指定した。団体側は異議を唱えて法廷闘争を起こし、1審判決では指定が違法とされたが、控訴審では政府の措置が適法と判断され、現在は最高裁の判断待ちとなっている。 法律学教授が指摘する出版側の法的リスク ルーニーさんは指定後も、印税を使って団体への支援を続けると宣言している。英ブリストル大学のギャビン・フィリップソン教授は、印税がテロ組織の支援につながれば、フェイバーとしても深刻な罪に問われかねないとの恐れがあると法律学の観点から解説した。英国のテロ法は2000年に制定されたもので、テロ組織への資金提供を広く規制しており、有罪となった場合は最長で14年の禁錮刑が科される規定となっている。 内外の著名作家による表現の自由への抗議書簡 米タイム誌の「世界で最も影響力がある100人」に選ばれたこともあるルーニーさんの出版断念に対し、内外から異論が出ている。今年のノーベル文学賞受賞が決まったカナダの詩人アン・カーソンさんや英米仏の著名作家らは21日、公開書簡を発表した。作品が販売できなくなったことは表現の自由への侮辱であり、検閲を断固拒否すると英政府を批判し、テロ法の改正を求めている。 書店に広がる読者の共感と今後の流通見通し フェイバーは現状でルーニーさんに印税を支払っていないとみられるが、書店など既に市場に出回った作品の販売は続いている。英国ではルーニーさんに共感し、作品を買おうとする動きが広がっている。ロンドン市内の書店に赴いた会社員コナー・フィリップスさんは、自身の考えを表明しただけで出版禁止になるのはおかしいと語り、少しでも支援できればと本を買いに訪れていた。 関連情報: 作家サリー・ルーニー、英国での著書販売停止を発表 親パレスチナ団体支援めぐり

英作家サリー・ルーニーがフェイバー社からの英国での出版継続を断念

サリー・ルーニーさんの出版継続断念とフェイバー社の判断

若い世代の現実を描きミレニアム世代の代弁者とも評されるアイルランド出身の作家サリー・ルーニーさんが、英国の大手出版社フェイバーからの出版継続を断念した。作品は日本語を含む約50か国語に翻訳され、世界で600万部以上を売り上げている。フェイバーは今月中旬、「今後は作品を販売できない」と声明を発表した。現下の法規制では印税を支払えないとし、ルーニーさんとの合意の上での決定だと説明している。

英国テロ法とパレスチナ・アクション支援を巡る問題

フェイバーが懸念を示した理由は英国のテロ法にある。ルーニーさんは英国に拠点がある団体「パレスチナ・アクション」を熱心に支援してきた。同団体は街頭デモに加え、英空軍基地に侵入して戦闘機にスプレーを噴射するなどしており、英政府は暴力を容認しているとして昨年にテロ組織に指定した。団体側は異議を唱えて法廷闘争を起こし、1審判決では指定が違法とされたが、控訴審では政府の措置が適法と判断され、現在は最高裁の判断待ちとなっている。

法律学教授が指摘する出版側の法的リスク

ルーニーさんは指定後も、印税を使って団体への支援を続けると宣言している。英ブリストル大学のギャビン・フィリップソン教授は、印税がテロ組織の支援につながれば、フェイバーとしても深刻な罪に問われかねないとの恐れがあると法律学の観点から解説した。英国のテロ法は2000年に制定されたもので、テロ組織への資金提供を広く規制しており、有罪となった場合は最長で14年の禁錮刑が科される規定となっている。

内外の著名作家による表現の自由への抗議書簡

米タイム誌の「世界で最も影響力がある100人」に選ばれたこともあるルーニーさんの出版断念に対し、内外から異論が出ている。今年のノーベル文学賞受賞が決まったカナダの詩人アン・カーソンさんや英米仏の著名作家らは21日、公開書簡を発表した。作品が販売できなくなったことは表現の自由への侮辱であり、検閲を断固拒否すると英政府を批判し、テロ法の改正を求めている。

書店に広がる読者の共感と今後の流通見通し

フェイバーは現状でルーニーさんに印税を支払っていないとみられるが、書店など既に市場に出回った作品の販売は続いている。英国ではルーニーさんに共感し、作品を買おうとする動きが広がっている。ロンドン市内の書店に赴いた会社員コナー・フィリップスさんは、自身の考えを表明しただけで出版禁止になるのはおかしいと語り、少しでも支援できればと本を買いに訪れていた。

執筆者について: nipponese

Nipponese News編集部は、国内外のニュースを日本語で分かりやすくお届けします。