イスラエル民主研究所のヨハナン・プレスネル所長は、「決着のつかない結果になることが最も可能性の高いシナリオだと思われる」とCBSニュースに語った。
イスラエル国民は、過去数年にわたる多方面での戦争を経て、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の続投か政権交代かを決める総選挙の投票に臨んでいる(NPR)。今回の選挙は、イスラエルの近現代史において異例の、そして最も重大な投票の一つと位置づけられている(NPR, Fox News)。世論調査では互角の戦いが伝えられており、明確な勝敗がつかずに政治的な膠着状態に陥る可能性が指摘されている(The Guardian, Fox News, CBS News)。
主要候補者と激しく二分される政治情勢
保守派の右派政党「リクード」を率いる77歳のネタニヤフ首相は、イスラエル史上最長政権を担ってきた(Fox News)。これまでの政権には、ユダヤ教国家主義を掲げる極右政党の指導者であるイタマル・ベン=グヴィールやベザレル・スモトリッチ、さらに2つの超正統派ユダヤ教政党が含まれていた(NPR)。これに対し、最大の野党挑戦者であるガディ・アイゼンコトは66歳で、中道政党「ヤシャル」を率いる元イスラエル国防軍参謀総長であり、ネタニヤフに対抗する政治家として自己を位置づけている(The Guardian, Fox News)。また、元首相のナフタリ・ベネットらも政治的復帰を目指して動いている(Fox News)。

選挙戦の構図は左右の対立ではなく、「ビビ(ネタニヤフの愛称)」を支持するか反対するかという二極化が特徴となっている(The Guardian, Fox News)。国内の議論は友人関係や家族関係を分断するほど先鋭化しており、国中には両陣営のポスターや看板が掲げられている(Fox News)。
10月7日の記憶と政治的責任
今回の選挙がこれほど重い意味を持つ背景には、2023年10月7日に起きたハマス主導の攻撃がある(NPR, Fox News)。この攻撃により約1,200人が死亡し、251人が人質として連れ去られた(NPR)。これは当局も認める通り、1948年の建国以来最大規模の安全保障上の失敗であり、今回の選挙は国家の責任を問う国民投票の側面を帯びている(Fox News, CBS News)。

アイゼンコトをはじめとする野党指導者らは、政権獲得後速やかに政治的・安保的失敗に関する国家調査委員会を設置すると公約しているが、ネタニヤフ首相はこれまでこうした調査委員会の設置要求に抵抗を続けてきた(NPR, CBS News)。他方で、ネタニヤフ支持の遺族や有権者は、長引く多正面戦争の中で指導力を発揮してきた姿勢を評価し、責任はむしろ軍や情報機関側にあると主張している(Fox News)。
連立の行方とアラブ系政党、および国際的な視点
イスラエルの選挙制度と政党乱立の状況下では、いかなる陣営も単独で過半数を獲得することは難しく、過半数ラインである61議席に届くかどうかが勝敗の鍵を握る(NPR, CBS News)。人口の約2割を占めるアラブ系市民を代表する政党、とりわけ過去に連立政権に加わったアラブ・イスラム主義政党の「ララム(United Arab List)」などの動向が結果に影響を与える可能性がある(NPR)。イスラエル民主 институтаのヨハナン・プレスネル所長によれば、アラブ系住民の投票率が高まるほど、ネタニヤフが現連立の枠組みで新たな政府を組織できる可能性は低くなるという(CBS News)。
また、外交面では、アメリカのドナルド・トランプ大統領がネタニヤフを支持し、イランとの対決を継続する上で「ビビ」以外の指導者であれば米国が単独で行動しなければならなくなるかもしれないとの懸念を示している(NPR, CBS News)。選挙結果の判明に向けて、主要テレビネットワークによる出口調査は投票終了直後に発表される予定となっている(Fox News)。