ウクライナのミハイロ・フェドロウ副首相が提唱する「ロボット軍」構想のもと、人型ロボットの戦場投入に向けた動きが注目されており、米軍も試験運用を進める中、開発企業であるファウンデーション・フューチャー・インダストリーズは、人型ロボットの将来的な武器使用を視野に入れていると、Forbes JAPANが報じた。.
ウクライナで進む「ロボット軍」構想の現実味
ウクライナのミハイロ・フェドロウ前国防相は、半年以内に人型ロボットを戦場に投入するという野心的な目標を掲げている。かつてSF映画の題材であった人型ロボットは、現在、軍事技術としての実用化が現実的な段階に達した。米陸軍はすでに、米ファウンデーション・フューチャー・インダストリーズ(別名:ファウンデーション・ロボティクス)が開発した人型ロボット「Phantom(ファントム)Mk1」の要求仕様策定や試験に着手している。同社製のロボットはウクライナ国内でも実証試験が行われており、軍事利用の準備が着々と進んでいる。
ファウンデーション社が進める実戦用ロボット開発
ファウンデーション社のサンケート・パタク最高経営責任者(CEO)は、同社のロボットが将来的に武器を使用する可能性を否定していない。当初は偵察任務が想定されているが、開発の焦点はより直接的な戦闘支援へと移行している。パタクCEOは「武器の取り扱いについては、すでにいくつか試しています。いずれは実際に武器を使用するケースにも取り組むつもりです。戦闘を避けるつもりはありません」と述べている。同社のスローガンは「海兵隊員を送り込む前に、まずロボットを」であり、元米海兵隊員が共同創業者のひとりに名を連ねている。
「ターミネーター」の誤解と実際の制御方式
人型軍用ロボットについては、映画『ターミネーター』に登場する自律型の殺戮マシンというイメージが根強く残っている。しかし、パタクCEOはSF作品と現実の技術には大きな隔たりがあると強調する。「ターミネーターはタイムトラベルもできるし、自分で傷を治すことだってできる。わたしたちはまだそこまではできませんよ」と語り、同社のロボットはあくまで人間が直接制御する仕組みであることを説明した。あくまで人間を危険な環境から遠ざけるためのツールであり、自律的に意思決定を行うものではないというのが同社の立場である。
軍事装備としてのロボットに対する見解
パタクCEOは、ロボットという兵器カテゴリーが過剰に危険視される風潮に疑問を呈している。ドローン(無人機)が広く普及したように、人型ロボットも軍事装備の一つとして冷静に評価されるべきだと主張する。パタクは「(ロボットが)爆弾より大きな被害をもたらすというのはばかげた考えです」と述べ、人型であるという外見上の理由だけで兵器としての導入を反対するのは、感情的で無意識的な反応に過ぎないと指摘した。
ファウンデーション・フューチャー・インダストリーズ社は「海兵隊員を送り込む前に、まずロボットを」というスローガンを掲げている。
人型ロボットが変える今後の戦場
人型ロボットの戦場投入は、将兵の安全を確保する手段として、今後より広範な軍事活動で検討される見通しだ。現在の技術水準では人間による遠隔操作が前提となっているが、技術の進歩に伴い、偵察から戦闘までその任務範囲は拡大する可能性がある。ウクライナでの実証実験の結果が、今後の軍事戦略における人型ロボットの役割を決定づける重要な試金石となる。各国軍が同様の装備を導入していく中で、人型兵器の運用ルールや倫理的な議論も並行して進むことになる。