過去数十年で最高水準を記録する記録的な投票率
イスラエル全土で実施されている総選挙において、有権者の足取りは重い雨や荒天にもかかわらず衰えていない。エルサレムでは数カ月にわたる干ばつを破る最初の豪雨が夜間に街を濡らし、超正統派地区の男性たちが雨宿りを余儀なくされる場面もあったが、投票所には朝から多くの市民が詰めかけた。イスラエル中央選挙委員会によると、有権者の約45%が午後2時までに投票を済ませており、これは過去50年間で同時間帯としては最高値を記録した。さらに、午後4時時点の投票率は約56%に達し、中央選挙委員会の代理事務局長を務めるディーン・リヴネによれば、この数値は1973年に当局が記録の集計を開始して以来、同時間帯としては過去最高であり、2022年の前回選挙の同時刻と比較しても8.2%高い水準となった。その後、午後6時時点では有権者の約67%が投票を終え、前回2022年の同時刻の数値から9ポイント上昇した。
ネタニヤフ首相の進退と対立候補ガディ・アイゼンコトの激しい政権争い
今回の選挙は、ハマス主導による2023年10月7日の攻撃や、それに続く中東各地での紛争以降におけるベンヤミン・ネタニヤフ首相の指導力に対する実質的な信任投票と広くみなされている。イスラエルでは有権者は政党に投票し、その政党が連立を組むことで過半数連合を形成する仕組みとなっている。120議席で構成される国会(クネセト)において、単独政党が61議席の過半数を獲得したことは過去に一度もない。1996年に初めて首相に就任したネタニヤフは、イスラエル政治の巨頭であり、現在も極右政党や超正統派政党との連立政権を維持しており、この現在の連立は同国史上最も右寄りの政権となっている。
野党ヤシャル党党首のガディ・アイゼンコトは「今回の選挙は、国家建国以来、最も重要な一日となる可能性がある」と述べている。
アラブ系住民の動向と投票延長を巡る激しい攻防
投票率の上昇をめぐっては、各陣営の間で激しい心理戦と応酬が繰り広げられた。ネタニヤフは投票日を通じてソーシャルメディア上でアラブ系有権者の投票率が高いことに言及し、これを右派にとっての「非常事態」かつ「生死にかかわる問題」と表現して支持層に投票所へ足を運ぶよう強く呼びかけた。さらに、ネタニヤフ率いる右派政党のリクードは、午後10時以降も投票時間を延長するよう中央選挙管理委員会に請願した。これに対し、アイゼンコト陣営は猛反発し、投票延長の要求について選挙の公正性に疑問を投げかけるための口実を作る試みであると批判した。選挙の初めから、主要政党の間では全土の投票所で不正投票の申し立てが相次いだが、中央選挙委員会(CEC)は投票用紙の組織的な改ざんを示す証拠は存在しないと発表している。


これに対し、アイゼンコト陣営は猛反発し、アイゼンコトは声明を発表し、延長要求について次のように批判している。
「この要請を正当化するような例外的な事態は発生していない。この要請は、選挙の公正性を疑うような主張の地ならしをすることを目的としており、ネタニヤフが今朝から広め続けている嘘を継続するものだ」とガディ・アイゼンコト野党ヤシャル党党首は語った。
出口調査と今後の公式結果の行方
全土の投票所が現地時間午後10時に閉鎖される予定となっており、その後夜遅くには有権者の動向を示す出口調査が発表される見通しだ。しかし、今回の選挙は過去に例を見ないほど接戦となっており、正確な勝敗や次期政権の枠組みを決定づける公式な結果判明には数日を要する見込みである。