フランス国内で生活費の高騰や学生の抗議活動に端を発する暴動が激化し、数億ドル規模の物的損害が発生した。主要都市で略奪が横行し、警察の鎮圧失敗を受けて内相が辞表を提出する事態となっている。ルコルニュ首相は「厄介な事態に直面している」と危機感を表明した。.
仏国内で広がる都市部の反乱と数億ドル規模の物的損害
フランス全土の主要都市で週末に発生した騒乱により、物的損害と窃盗による被害額は数億ドルに上ると推定されている。パリやマルセイユ、ボルドーなどの都市では略奪が横行した。2度の世界大戦を生き延びたリモージュ市庁舎が火災で甚大な被害を受け、時計塔の尖塔が崩落している。週末の暴力事件では約2400人が逮捕された。警察が暴動を鎮圧できなかったことを受け、ヌニェス内相が辞表を提出する事態に発展している。
学生の抗議活動から始まった一連の社会不安
今回の暴動の数週間前には、老朽化した学校や教員不足、暗澹たる就職見通しに怒りを抱く学生たちによる抗議活動が続いていた。秋学期の開始とともに始まった学生の抗議活動では、6000人以上が逮捕され、100校以上の学校が被害を受けている。来週末にもさらなるデモが予定されており、11月には労働組合もストライキを行う計画だ。フランスは「不満の冬」に直面する中で来春の大統領選挙を迎えることになる。
マクロン大統領の演説と政治家たちの責任のなすり合い
18日に全国放送のテレビ演説を行ったマクロン大統領は暴力行為を非難したものの、具体的な対処方針を示すことなく湾岸諸国への外遊に出発した。ルコルニュ首相と野党勢力の間では責任のなすり合いが展開されている。極左のジャンリュック・メランション氏が政府の警察戦術を非難すると、ルコルニュ氏はメランション氏の政治的責任を指摘して反論した。こうした政治の迷走が混乱に拍車をかけている。
極右および極左勢力による異なるアプローチと対立
極右政党「国民連合」の大統領選候補であるマリーヌ・ルペン氏は、暴力の責任を貧困なバンリューに暮らす非行少年たちに帰している。ルペン氏は秩序を回復できるのは自身の強硬な姿勢だけだと主張した。同党のジョーダン・バルデラ党首は、反ファシスト運動の民兵組織や過激派グループのブラック・ブロックをテロ組織に指定するよう要求している。アナリストは、現行の政治的分断が今後も続く公算が大きいと指摘する。
議会機能不全がもたらすフランス民主主義への脅威
2024年にマクロン氏が呼びかけた前倒し総選挙の後、議会は機能不全に陥った。中道勢力が消滅する隙を突いて、国民連合や不服従のフランスが怒りを募らせる国民を味方につけている。マクロン政権下の首相たちは議会で予算案を可決できていない。米ヒューストン大学のロバート・ザレツキー教授は、最終的にフランスの民主主義にとって最大の脅威となる2人の候補者のいずれかが決選投票に進むことになると指摘している。