ARTEX GMOサイバー犯罪対策センターは19日、日本企業を狙った一連の不正アクセスにおいて、中国で開発された自律型AIペネトレーションテストツール「ARTEX」が攻撃に使用されていたことを確認したと発表した。さらに同センターは、日本企業を標的とするAIを利用した攻撃インフラを新たに6台発見し、法執行機関へ情報を共有した。
中国製AIツール「ARTEX」が攻撃に使用された経緯
ARTEX GMOサイバー犯罪対策センターの発表によると、日本企業を狙った一連の不正アクセスについて、中国で開発されたAIツール「ARTEX」が攻撃に使われていたことを確認した。ARTEXは大規模言語モデルと連携し、脆弱性の探索や侵入テストなどを自動化するAIによる自律型ペネトレーションテストツールである。もともとはオープンソースとして公開されていたが、サイバー攻撃への悪用が報じられたことを受け、開発者はすでに公開を取りやめている。
サイバー犯罪対策センターは以前の調査で、フォレンジックログの分析から、一連の不正アクセスにAIが使われている可能性が高いと指摘していた。今回、攻撃元のインフラを調査したところ、ARTEXの使用が確認され、AIを利用した攻撃との見方が裏付けられた形となる。Impress Watchの報道でも、同様の調査結果が伝えられている。
日本企業に集中する標的と新たに発見された攻撃インフラ6台
調査では、特定の国や業種に標的を絞った攻撃が行なわれている実態も明らかになった。サイバー犯罪対策センターが調査した攻撃元インフラの1つでは、日本企業約20社が標的となっており、そのうち9社は同じ業種のWebサイトだった。観測できた範囲では、攻撃対象はほぼ日本企業に集中していたという。
さらに、同様に日本企業を狙ったAI利用の攻撃インフラが新たに6台発見された。それぞれの主な攻撃対象は、デジタルギフト・小売流通、教育・ギフト・印刷、ポイントギフト・マーケティング、保険・金融、EC・メディア・物流となっている。標的として確認した日本企業のうち、8社は9月から10月にかけて情報漏えいをすでに公表していた。
同一グループの関与と法執行機関への情報共有
サイバー犯罪対策センターは、同一の攻撃グループが複数の事件に関与していると分析している。さらなる被害を防ぐため、今回の調査で得られた詳細な情報は法執行機関に共有された。
AIを使った攻撃については、米CrowdStrikeも別の事例を報告している。韓国の金融機関を標的とした攻撃においてARTEXが使用されていたと指摘しており、攻撃者のサーバーからはARTEXの設定ファイルやAI開発ツール「Claude Code」のセッション履歴などが確認されている。GMOサイバー犯罪対策センターは、こうした海外と同様の手口が日本企業への攻撃にも使われていると推察している。
今後の被害拡大防止に向けた動向と実態解明
AIツールを悪用したサイバー攻撃は、国境を越えて金融機関や一般企業を脅かしている。米CrowdStrikeの報告や今回のGMOサイバー犯罪対策センターの発表が示すように、攻撃者は高度なAI開発環境や自律型ツールを組み合わせて標的網を広げている。法執行機関による捜査の進展と、各企業における一層のセキュリティ検証が求められる局面が続いている。