フランス全土で生活費高騰への不満から大規模な暴動が発生し、約2700人が拘束される事態となっています。司法当局は即時裁判で拘禁刑を科すなど厳格な対応を強めていますが、来春の大統領選を控え、政権の不安定化が懸念されています。.
大規模暴動と司法当局の厳格な対応
フランス各地で発生している暴動に対し、政府は司法を通じた強硬姿勢を打ち出しています。AFPBB Newsによると、ジェラルド・ダルマナン法相は10月22日、先週末の暴動に関連して217人が即時裁判で拘禁刑を言い渡され、収監されたと発表しました。17日以降の拘束者は2700人に上り、起訴されたのは1000人を超えています。ダルマナン法相は「この数字は現在も大幅に増え続けている」と述べ、司法当局の対応を「極めて厳格」と称賛しました。収監者の半数には前科がなく、その大半が18歳から25歳の男性であることも明らかになっています。
生活費高騰を背景にした抗議の拡大
今回の暴動の根底には、長引く生活費の高騰に対する国民の強い不満が存在します。JBpressは、フランス国内で高校生らが参加する55万人規模のデモが発生し、一部が暴徒化して商店の襲撃や略奪に及んだと報じました。東洋経済オンラインは、この状況を1968年の「5月革命」と比較し、学生数の増加や教育現場の設備不足といった構造的な不満が、若者たちの怒りに火をつけたと指摘しています。かつて燃料税引き上げに端を発した「黄色いベスト」運動が、マクロン政権の構造改革に対する広範な反発へと発展した構図が、再び繰り返されている形です。
マクロン政権の改革と財政の悪化
マクロン大統領が推進してきた経済政策は、結果として政権基盤を揺るがす要因となりました。JBpressによると、マクロン氏は就任後、労働法改正による解雇の容易化や法人税の引き下げ、富裕税の廃止といった産業活性化策を打ち出しました。しかし、歳出削減が進まない中で新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけ、財政赤字は深刻化しています。2017年に公約した公務員12万人の削減計画も、国民の猛反発を受けて撤回・縮小を余儀なくされました。減税による経済活性化という狙いは、地方の家計を直撃する燃料税引き上げなどと相まって、国民の不信感を招く結果となりました。
フランス社会が抱える構造的な課題
フランスの司法制度は現在、過剰収容という長年の課題に直面しています。AFPBB Newsの報道によれば、9月1日時点の受刑者・未決拘禁者数は9万20人に達し、収容定員の6万3348人を大幅に上回って過去最多を更新しました。ダルマナン法相は、解決策として受刑者数を減らすのではなく、収容スペースを増やす方針を示しています。一方で、一部の弁護士からは司法当局が弾圧に傾いているとの批判も上がっており、社会的な分断は深まる一方です。

- 17日以降の拘束者数:約2700人
- 即時裁判による拘禁刑確定者:217人
- 9月1日時点の受刑者数:9万20人(収容定員6万3348人)