フランス全土で生活費高騰や社会福祉制度への不満を背景とした大規模な抗議デモが発生し、パリを含む各地で治安部隊と衝突し催涙ガスが使用される事態となりました。当局は混乱と暴力の責任を「極左」勢力にあると非難し、多数の拘束者が出ています。.
フランス全土に広がる抗議活動と衝突
10月17日、フランス各地で数万人規模のデモが行われ、生活費の高さや社会福祉システムの形骸化に対する怒りが噴出しました。ガーディアン紙によると、今回の動員は、2018年に社会的不公正に反対して結成された「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動の再興を求めるソーシャルメディア上の呼びかけに端を発しています。パリのシャンゼリゼ通りや凱旋門付近では警察による厳重な警備が敷かれ、一部のデモ参加者は警察官に対し罵声を浴びせました。
フランス当局は、パリ以外の地域で3万2,800人が参加する140件の抗議活動が正午までに記録されたと発表しました。マルセイユでは、デモ隊が街頭から取り外した防護柵を使って市庁舎の扉を突き破るなど、激しい動きが見られました。また、トラックが放火され、その火が近隣の建物に燃え移るなど、各地で混乱が続いています。
学生の不満から全国的な運動へ
一連の抗議活動は、先月、パリ北部の貧困地区にある学校から始まりました。教員の欠員や老朽化した校舎に対する生徒たちの不満が、格差や公共支出の不足に対する全国的な運動へと発展したものです。19歳の参加者であるローラさんは、パリでのデモの最中に次のように述べています。
「私たちは、生活費があまりにも厳しく、燃料価格が高すぎるために戦っています。また、より多くの教師とまともな学習環境を求めて抗議しようとしただけで、全国で暴力的に攻撃され、傷つけられている高校生たちのために戦っているのです」
政府の対応と治安当局の報告
エマニュエル・マクロン大統領は、10月16日に冷静さと人権および財産の尊重を呼びかけました。大統領は「抗議し、自己を表現する憲法上の権利」を認めつつも、破壊行為は「容認できない」と強調しました。内務大臣のローラン・ヌニェス氏は、80以上のデモ行進や自然発生的な集会が全国で予想されると警告していました。
治安当局とデモ隊の対立は深刻化しています。フランスの首相は、これまでに900人以上の警察官が負傷したと報告しています。また、警備側の武器使用をめぐっては、ある15歳の少年が手首を失う事故が発生し、警察監視機関が少なくとも2ダースの警察暴力の申し立てを調査中です。ヌニェス内相は、若年層のデモ参加者に対する特定のスタングレネードの使用を一時停止していましたが、17日のデモでは使用可能であるとの見解を示していました。
政治的背景と労働組合の関与
マクロン政権の任期終盤において、この抗議運動は極左と極右の両陣営から注目を集めています。極左政党「フランス不服従」のジャン=リュック・メランション氏はデモ行進に参加し、一方で右派は警察への支持を表明するなど、政治的な分断が鮮明になっています。