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バイカル湖の5500年前の墓地からペスト菌を発見、シベリアマーモットが感染源か

人類最古とされるペスト流行の証拠が、ロシア・シベリア南東部のバイカル湖近くにある約5500年前の墓地から発見された。英オックスフォード大学の研究チームが2026年6月17日付の学術誌「ネイチャー」で発表したもので、現地の狩猟採集民がシベリアマーモットから感染した可能性が指摘されている。 バイカル湖周辺の墓地で見つかった5500年前のペスト証拠 人類で最古とされるペストの流行は、ロシアのシベリア南東部にあるバイカル湖の近くで起きていた。英オックスフォード大学のルアイリ・マクラウド氏が率いる研究チームは、約5500年前にこの地域の墓地に埋葬された狩猟採集民に、ペスト菌の存在を示す証拠を発見したと2026年6月17日付けの学術誌「ネイチャー」で発表した。マクラウド氏は、この狩猟採集民たちが地域に生息するシベリアマーモットからペストに感染した可能性が高いと述べている。マーモットはネコほどの大きさを持つ、穴を掘って暮らすジリスの一種であり、その関与を示す考古学的な裏付けも複数確認されている。 マーモットの門歯が物語るヒトとの深い歴史的関わり バイカル湖周辺で起きていたペスト流行を裏付けるように、同じ地域の墓地からはマーモットの門歯が数百個も見つかっている。長く湾曲したその前歯は装飾品として珍重され、副葬品として埋葬されたとみられている。マクラウド氏は、マーモットについてヒトと密接な関わりがあったことを示す明確な考古学的証拠がある唯一のペスト媒介動物であると指摘する。中国の満州地方やモンゴルにおいても、マーモットからヒトへの感染は数千年にわたって継続してきた。米ミネソタ大学の歴史学者で獣医師のスーザン・ジョーンズ氏によると、1870年代にシベリアへ向かった調査隊は、マーモットの間でペストが広がり、それを扱ったヒトへの感染が起きているという推測を持ち帰っている。同氏はソビエト連邦のペスト防疫体制を10年にわたり研究してきた実績を持つ。 満州の大流行と現代に続くモンゴルの伝統料理文化 歴史的にもマーモットをめぐる感染被害は記録されている。1910年から1911年にかけて中国の満州地方で約6万人が死亡したペストの大流行では、地元の猟師たちが調査員に対して病気の原因はマーモットにあるという見方を示していた。それでも中央アジアのステップに暮らす人々にとって、マーモットが持つ文化的価値は失われていない。熱した石でマーモットを皮ごと焼くボードグはモンゴルの国民的料理であり、内臓は健康に良いと信じる人々によって違法な猟がいまだに続けられている。生肉を食べることはペストの感染と深く結びついており、2019年にはモンゴル西部で夫婦が内臓を生で食べたあとにペストで死亡したほか、翌年には近隣地域で15歳の少年に同様の犠牲が出ている。 ペスト菌の温床となるシベリアマーモットの特殊な生態 ヒトは通常ペスト菌を長く維持する宿主にはならないが、シベリアマーモットは菌を長期間保持するのに極めて適した宿主であると、ノルウェー・オスロ大学でペスト菌の生態を研究するニルス・ステンセス氏は語っている。シベリアマーモットはペスト菌に感染しても50%から80%が生き延びる特性を持つ。さらに、地下で密集した社会性コロニーを作り、十数匹の大家族が同じトンネルを共有して生活しているため、ノミが次々と飛び移る病原体にとってうってつけの環境が形成されている。ロシアの研究チームは、ペスト菌がげっ歯類の巣の敷き材の中で400日以上生存することを確認しており、冬眠中の巣穴も菌にとって居心地の良いすみかとなっている。ソビエト連邦による徹底した撲滅計画をも生き抜いてきたマーモットをめぐり、中央アジアの草原地帯では現在も感染リスクと文化的慣習のせめぎ合いが続いている。 関連情報: ロシア・イルクーツク州のペスト対策研究所で女性研究員が死亡、ペスト感染の疑いも指摘される · ロシア当局がWHOにペスト感染例なしと報告、イルクーツクでの研究者死亡めぐり

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人類最古とされるペスト流行の証拠が、ロシア・シベリア南東部のバイカル湖近くにある約5500年前の墓地から発見された。英オックスフォード大学の研究チームが2026年6月17日付の学術誌「ネイチャー」で発表したもので、現地の狩猟採集民がシベリアマーモットから感染した可能性が指摘されている。

バイカル湖周辺の墓地で見つかった5500年前のペスト証拠

人類で最古とされるペストの流行は、ロシアのシベリア南東部にあるバイカル湖の近くで起きていた。英オックスフォード大学のルアイリ・マクラウド氏が率いる研究チームは、約5500年前にこの地域の墓地に埋葬された狩猟採集民に、ペスト菌の存在を示す証拠を発見したと2026年6月17日付けの学術誌「ネイチャー」で発表した。マクラウド氏は、この狩猟採集民たちが地域に生息するシベリアマーモットからペストに感染した可能性が高いと述べている。マーモットはネコほどの大きさを持つ、穴を掘って暮らすジリスの一種であり、その関与を示す考古学的な裏付けも複数確認されている。

マーモットの門歯が物語るヒトとの深い歴史的関わり

バイカル湖周辺で起きていたペスト流行を裏付けるように、同じ地域の墓地からはマーモットの門歯が数百個も見つかっている。長く湾曲したその前歯は装飾品として珍重され、副葬品として埋葬されたとみられている。マクラウド氏は、マーモットについてヒトと密接な関わりがあったことを示す明確な考古学的証拠がある唯一のペスト媒介動物であると指摘する。中国の満州地方やモンゴルにおいても、マーモットからヒトへの感染は数千年にわたって継続してきた。米ミネソタ大学の歴史学者で獣医師のスーザン・ジョーンズ氏によると、1870年代にシベリアへ向かった調査隊は、マーモットの間でペストが広がり、それを扱ったヒトへの感染が起きているという推測を持ち帰っている。同氏はソビエト連邦のペスト防疫体制を10年にわたり研究してきた実績を持つ。

満州の大流行と現代に続くモンゴルの伝統料理文化

歴史的にもマーモットをめぐる感染被害は記録されている。1910年から1911年にかけて中国の満州地方で約6万人が死亡したペストの大流行では、地元の猟師たちが調査員に対して病気の原因はマーモットにあるという見方を示していた。それでも中央アジアのステップに暮らす人々にとって、マーモットが持つ文化的価値は失われていない。熱した石でマーモットを皮ごと焼くボードグはモンゴルの国民的料理であり、内臓は健康に良いと信じる人々によって違法な猟がいまだに続けられている。生肉を食べることはペストの感染と深く結びついており、2019年にはモンゴル西部で夫婦が内臓を生で食べたあとにペストで死亡したほか、翌年には近隣地域で15歳の少年に同様の犠牲が出ている。

ペスト菌の温床となるシベリアマーモットの特殊な生態

ヒトは通常ペスト菌を長く維持する宿主にはならないが、シベリアマーモットは菌を長期間保持するのに極めて適した宿主であると、ノルウェー・オスロ大学でペスト菌の生態を研究するニルス・ステンセス氏は語っている。シベリアマーモットはペスト菌に感染しても50%から80%が生き延びる特性を持つ。さらに、地下で密集した社会性コロニーを作り、十数匹の大家族が同じトンネルを共有して生活しているため、ノミが次々と飛び移る病原体にとってうってつけの環境が形成されている。ロシアの研究チームは、ペスト菌がげっ歯類の巣の敷き材の中で400日以上生存することを確認しており、冬眠中の巣穴も菌にとって居心地の良いすみかとなっている。ソビエト連邦による徹底した撲滅計画をも生き抜いてきたマーモットをめぐり、中央アジアの草原地帯では現在も感染リスクと文化的慣習のせめぎ合いが続いている。

執筆者について: nipponese

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