ウクライナがロシア国内の石油ターミナルに対し、今年最大規模のドローン攻撃を実行したことを受け、米国のドナルド・トランプ大統領は18日、自身のSNSでゼレンスキー大統領を強く非難した。トランプ氏は、ロシアを交渉の場から遠ざけないために和平交渉を進めていると主張し、ロシアに対する制裁措置を停止した決定を正当化している。.
トランプ大統領がゼレンスキー氏の攻撃を批判
米国のドナルド・トランプ大統領は18日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を痛烈に非難した。ウクライナ側は17日夜から18日未明にかけて、ロシアに対し今年最大規模となる無人機(ドローン)攻撃を実施し、主要な石油ターミナルを狙った。トランプ氏がロシアのエネルギーインフラへの攻撃停止を求めていたにもかかわらず、この攻撃が強行された形となる。トランプ氏は投稿で、ゼレンスキー氏について「彼はこの戦争の終結を望んでいないし、これまで望んだこともないのだろう」と主張した。こうした対立が深まる中、ゼレンスキー氏は18日にX(旧ツイッター)を更新し、米国のウィトコフ特使やトランプ氏の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏と協議したことを明らかにし、和平に向けた意思疎通を続けていると強調している。
ロシア側での被害とドローン迎撃の状況
ウクライナによる今回の大規模なドローン攻撃に対し、ロシア国防省は18日未明にかけて国内各地で合計1015機のドローンを撃墜したと発表した。地元当局の発表によると、この一連の攻撃によりロシア国内で1人が死亡し、5人が負傷したほか、住宅施設にも被害が出ている。空爆を受けたサンクトペテルブルクの石油ターミナルなどからは黒煙が立ち上り、被害の大きさを物語っている。ロシア側は防空体制の強化をアピールする一方、重要インフラへの直接的な打撃を受けたことで、エネルギー供給網への警戒をさらに強めている。
対ロ制裁の停止をめぐるアメリカ国内の波紋
BBCニュースによると、トランプ大統領は16日、ロシアに対する複数の制裁措置を一時停止する大統領令に署名した。この制裁法は9月に連邦議会が可決したもので、ロシア産の石油・天然ガスの購入量が多い国からの輸入品に対して最大100パーセントの関税を課す権限などを大統領に与えていた。しかしトランプ氏は、この停止措置についてロシア政府を和平交渉の場に引き留めておくためのものだと説明している。こうした決定に対し、アメリカ国内では野党・民主党だけでなく与党・共和党の議員からも批判の声が上がっており、テッド・クルーズ上院議員やジョン・コーニン上院議員らが無謀であると公に苦言を呈している。
ゼレンスキー氏が指摘する制裁免除の影響
ゼレンスキー氏は18日に米NBCニュースのインタビューに応じ、トランプ政権によるロシアへの制裁免除措置について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵略をさらに支援する行為だと強く批判した。戦場でロシア軍が苦戦しているにもかかわらず、こうした免除を行うことは同国の戦争継続を後押しするものだと訴えている。さらに、ウクライナ軍が戦場用ドローンの誘導に利用している衛星通信サービス「スターリンク」へのアクセスが依然として制限されていることにも言及し、速度制限をかけたことは米国政府からのメッセージであるとの認識を示した。これに対してトランプ政権は、回線速度の意図的な制限や国防情報の共有停止についての関与を否定している。
今後の和平交渉とエネルギー価格の行方
トランプ大統領は18日の投稿で、ロシアを交渉の場から遠ざけるような愚かなことは一切したくないと述べ、自らがロシア・ウクライナ間の和平交渉を主導していると強調した。アメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動の影響も重なり、国内のエネルギー価格が急騰する中で、トランプ政権はロシア産ディーゼル燃料の輸入制裁免除などを通じて価格引き下げを図っている。しかし、ウクライナや欧州の同盟国は、こうした米国の対応が結果的にロシアの戦争遂行能力を支える資金源になると強く反発している。和平合意の糸口が見えないまま、米国、ロシア、ウクライナの三者間における外交的・軍事的緊張は今後も続く見通しだ。
