ドナルド・トランプ米大統領は10日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、ロシアとの戦争を終結させる能力が不足しているとして退陣を要求した。この発言は、トランプ氏がロシア産ディーゼル燃料の輸入再開を決定したことに対し、ゼレンスキー氏が激しく反発した直後になされた。
トランプ大統領による退陣要求とディーゼル燃料取引
この発言の背景には、トランプ政権が9日に発表したロシア産ディーゼル燃料の輸入再開という方針転換がある。トランプ氏は、米国内の燃料価格高騰を抑制するための措置だと説明しているが、ウクライナ側はこれを強く非難している。トランプ氏はゼレンスキー氏がロシアのエネルギーインフラへの攻撃を続けていることが、米国の燃料価格問題を引き起こしていると非難し、「彼が世界に問題を起こそうとしている」と語った。トランプ氏は「彼らはロシアに対して何をしてもいいが、精製所を攻撃するなと言った」と述べ、ゼレンスキー氏がその指示に従わなかったことを示唆した。
ザポリージャ州での攻撃とゼレンスキー大統領の反発
ウクライナのゼレンスキー大統領は、このディーゼル取引がモスクワに新たな軍事資金をもたらし、戦費を調達させることになると強く批判した。ゼレンスキー氏は、ロシアがこの取引を「戦い続け、都市への爆撃を続けてもよいという合意」と解釈していると警告した。実際、10日にはザポリージャ州の住宅地がロシアの航空爆弾による攻撃を受け、ウクライナの国家非常事態庁によると、子供3人を含む死者が出たほか、少なくとも18人が負傷した。
ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、X(旧ツイッター)への投稿でゼレンスキー氏を擁護し、「彼はウクライナ国民の支持を得ており、彼らには決定を下す権利がある」と述べた。さらに、「海外からの発言は、彼が自身の仕事をうまくこなしていることを証明しているに過ぎない。彼は支持に値する」と強調した。
欧州同盟国の懸念と制裁の現状
また、ホワイトハウスの動きに対しては、共和党内の政治的懸念も背景にある。燃料価格の高騰は、来月予定されている中間選挙に向けた共和党の政治的弱点となっており、トランプ氏はこれを解消するための施策を急いでいる。ロシアとウクライナは互いのエネルギーインフラを標的にした攻撃を激化させており、これがエネルギー市場の逼迫を招いている。
戦争の継続と外交の行方
ゼレンスキー氏は、ロシアが過去数日間で都市部への攻撃を強化している現状を指摘し、トランプ氏の対応が事態を悪化させていると批判した。一方、ロシアのプーチン氏はトランプ氏との通話後、ウクライナによるモスクワへのドローン攻撃を理由に、即時の和平交渉再開は困難であるとの見解を示した。米国側の交渉担当者であるスティーブ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏が今後2週間以内にモスクワを訪問する可能性があると、ロシアのタス通信が報じている。