グーグル・ディープマインドの研究チームが、4体のAIエージェントに人気ゲーム『マインクラフト』をプレイさせる実験を実施した。具体的な指示を与えずに協力させた結果、キャラクターたちが27時間14分でラスボスのエンダードラゴン撃破に成功したと、技術系メディアのGizmodoが報じた。
4体のAIエージェントによる分業と協力のプロセス
今回の実験では、グーグルのAIモデル「Gemini 4 Argon」を搭載した4体のAIエージェントが起用された。ゲームの難易度はEasyで始まり、周囲の状況を文字情報として読み取り、自らJavaScriptのプログラムを記述してキャラクターを動かす仕組みとなっている。
ゲーム内のチャット機能を通じて、開始から約10分という早い段階で自発的な役割分担が行われた。食料やベッドを集める係、ダイヤモンドを採掘する係、道具を制作する係、そして異世界のネザーに向かう準備をする係に分かれ、それぞれが独自の判断で冒険を進めていった。
水難事故とアイテム回収における高度な連携
冒険の過程では失敗やトラブルが相次ぎ、プログラムの不具合が生じた際には自ら原因を調査して書き直す作業が繰り返された。なかでも、攻略に不可欠な12個のエンダーアイを所持したまま仲間の1体が水中で溺死するインシデントが発生している。
マインクラフトの仕様では、死亡地点にドロップしたアイテムは一定時間で消滅する。この危機に対し、AIたちはチャット上でアイテムの座標と残り時間を共有し、別の1体が急行して12個すべてを回収した。さらに、仲間の報告に矛盾があれば指摘し合うなど、互いのミスを補う様子も確認された。
ラスボス戦での69回の死亡と集団自殺作戦
4体が最も苦戦を強いられたのは、ボスのいるジ・エンドに到着してから撃破するまでの約14時間である。エンダードラゴンとの戦闘では合計69回も殺され、攻撃のタイミングや危険地帯の回避方法を手探りで調整していった。
途中でドラゴンの動きが停止する不具合が発生した際には、エリアの読み込み直して状態をリセットするため、全員で奈落へ飛び込んで死亡するという大胆な作戦を立案した。約6分間で次々と奈落へ身を投じ、約4時間40分をかけて柱の上のクリスタルを破壊した末に、ドラゴン撃破を成し遂げた。
実験が示す長期的目標の維持と今後の展望
27時間14分に及んだ今回の冒険において、AIが作成したプログラムの総数は2,783本、チャットの総件数は229件、死亡回数は605回に達した。最後の撃破を決めた際のAIの残り体力は、最大20ポイントのうちわずか2.5ポイントという薄氷の勝利だった。
今回の成果について研究者らは、AIが長時間にわたって明確な目標を維持し、仲間と連携しながら失敗を修正できる点に注目している。今後はこうした協調メカニズムを、複雑なソフトウェア開発をはじめとする実務的な分野へ応用していく方針である。