イングランド北部の地域において、希少な高山植物の保護を目的とした約6万5000ポンドの助成金支給が決定し、新たな3カ年計画の始動が発表された。今回の取り組みにより、アッパー・ティーズデール(Upper Teesdale)のフェル(丘陵地帯)における貴重な自然環境の保全や、地域住民・ボランティアを巻き込んだ活動が本格化することになる。
希少な高山植物群「ティーズデール・アッサンブラージュ」の保護
今回のプロジェクトを主導するのは、Teesdale Special Flora Research and Conservation Trust(ティーズデール特有植物調査保全信託)である。同団体に対し、政府の「Farming in Protected Landscapes」プログラムを介して、North Pennines National Landscape(ノース・ペニーズ・ナショナル・ランドスケープ)から助成金が授与された。支給額については報道機関によって約6万5000ポンド、あるいは詳細な数値として6万4739ポンドと報じられている。
アッパー・ティーズデールは、ブリテン諸島およびアイルランドにおける主要な植物学的ホットスポットのトップ5に数えられる地域である。同地には、最後の氷河期が終焉を迎えた直後の1万年から1万2000年前の期間から現在に至るまで、途切れることなく生き延びてきたとされる北極・高山植物の特異な群落「ティーズデール・アッサンブラージュ(Teesdale Assemblage)」をはじめとする、異常なまでに多数の希少植物が生息している。
ボランティアの参画と今後の展望
3カ年におよぶ本計画では、ボランティアがトラストと協力し、現地で植物の識別、種子の採集、繁殖、そしてシーズンの最後には播種(はしゅ)作業を行うための訓練と実践の機会が提供される。集められた種子はアッパー・ティーズデールのフェルにまかれる予定となっている。
同トラストの創設者であるマーガレット・ブラッドショウ(Margaret Bradshaw)博士は、この地域の特殊な植物相の脆弱性や保護の重要性に対する認識を高めるため、本プロジェクトが進行中の調査と保全を支える上で極めて重要であると強調している。なお、トラスト側でも計画を支援するために別途1万5000ポンドの資金調達を行っている。
ノース・ペニーズ・ナショナル・ランドスケープの自然遺産プログラムマネージャーであるサラ・トゥーズ(Sarah Tooze)氏は、地元の農家やスタッフと協力しながら、バードズ・アイ・プリムローズ(鳥の目桜草)、スプリング・ゲンティアン(春竜胆)、イエロー・マーシュ・サキシフラージ(黄色の沢ユキノシタ)などを含む、保護上の懸念がある多数の種を守るための方法に取り組むことに意欲を示している。