Ubuntu 26.04環境において、IntelのNPUを活用してAIモデルを推論させるには、OpenVINOランタイムと専用NPUドライバーのインストールが不可欠です。ビルド済みバイナリが動作しない場合でも、ソースからビルドを行うことでIntel Core Ultra 5 226V搭載機などでの利用が可能になります。
Intel NPUの活用に必要なOpenVINO環境の構築
IntelのNPUを使用して推論を行うには、OpenVINOランタイムの導入が必須となります。公式ドキュメントに従い、アーカイブファイルからインストールを進めるのが確実です。まず、/opt/intelディレクトリを作成し、公式サイトから提供されているバージョン2026.4.0のパッケージをダウンロードして展開します。その後、必要な依存関係をインストールするスクリプトを実行してください。OpenVINOを使用する際は、都度設定ファイルを読み込む必要があります。環境変数の設定コマンドを実行することで、システムがOpenVINOを認識できる状態になります。
NPUドライバーのインストールと権限設定
NPUドライバーの導入は、パッケージ版よりもソースやGitHub経由のインストールが推奨されます。今回使用したバージョンは1.38.0です。まず、libtbb12をインストールし、続いて公開されているdebパッケージを展開・インストールします。さらに、Intelのグラフィックス系ライブラリであるlibze1が必要となるため、これらも併せて導入してください。最後に、ユーザーをrenderグループに追加し、システムを再起動することでNPUへのアクセス権限が正しく割り当てられます。この工程を経て初めて、ハードウェアレベルでの推論環境が整います。
llama.cppにおけるビルド済みバイナリの限界
llama.cppのリリースページではUbuntu向けのOpenVINO対応バイナリが配布されていますが、環境によってはそのまま利用できないケースがあります。実際にNucBox K17で試行したところ、モデルの読み込み時に「Illegal instruction」というエラーが発生しました。これはバイナリの互換性や特定のCPU命令セットへの依存が原因と考えられます。そのため、安定した動作を求めるのであれば、自身の環境に合わせてソースコードからビルドを行うのが最も確実です。自力でのビルドにより、手元のPC環境に最適化された実行ファイルを作成できます。
Intel NPUを活用した今後の推論環境
- OpenVINO Runtime 2026.4.0
- Intel NPU Driver v1.38.0
- Ubuntu 26.04.1 LTS
- GMKtec NucBox K17 (Core Ultra 5 226V)
なお、AMD製NPUについては、以前のUbuntu環境で必要だったlibxrt-npu2やamdxdna-dkmsパッケージのインストールが、カーネル7.0以降では不要になるなど、利便性が大幅に向上しています。