ハワイのハレアカラ火山山頂付近にある世界最大の太陽望遠鏡が、太陽表面の可視領域で微小な渦巻状プラズマ構造を初めて直接観測しました。この成果は、太陽嵐の発生メカニズムや太陽大気へのエネルギー輸送の解明につながる重要な一歩として注目されています。 世界最大の太陽望遠鏡が捉えた太陽表面の微小な渦 Inouye Solar Telescope) この現象は、速度の異なる流体や気体の層が隣り合うことで波状の乱れが生じ、それが渦巻状に発達する仕組みです。地球の海洋波や木星、土星などの惑星大気では確認されていましたが、太陽の表面でその明瞭な署名が観測されたのは初めてとなります。観測チームは、太陽黒点付近の磁気活動が活発な領域を調査しました。 同氏は、口径4メートルの主鏡と最新の光学系を備えた世界最大の太陽望遠鏡と最先端のコンピュータシミュレーションを組み合わせることで、約20キロメートル(12マイル)規模の太陽表面構造を解像することが可能になったと説明しています。 太陽顆粒の縁に現れる無数の渦とシミュレーションの一致 新しく得られた画像やタイムラプス観測では、これらの顆粒の縁に沿って微細な縁飾り状の構造が存在し、それが打ち寄せる波のように繰り返し渦巻く動きを見せることが明らかになりました。研究チームは、物理法則に基づく高解像度のコンピュータシミュレーションと実際の観測データを比較しました。 画像とシミュレーション結果が極めてよく一致したことから、チームは確認された構造が磁場を伴うケルビン・ヘルムホルツ不安定性であることを特定しました。理論モデルが長年予測していた現象が、実際の観測によって裏付けられた形となります。 太陽嵐の引き金と磁気エネルギー放出への影響 今回観測された微小な渦は、太陽が磁場を通じてどのようにエネルギーを蓄え、それを放出しているのかという長年の疑問を解く手がかりになると期待されています。既存の理論では、ゼンマイばねのように磁力線がねじれて束ねられることで磁気エネルギーが蓄積されると考えられています。 Photo: AA しかし、磁力線のねじれを引き起こす具体的な要因については、これまで十分に解明されていませんでした。今回発見された渦は、磁場が十分に強い場所で絶えず形成されるため、磁力線のねじれを駆動する原動力の一つになっている可能性が指摘されています。 地球の宇宙天気と今後の観測に向けた課題 また、研究では、これらの渦が磁場を持つプラズマと持たないプラズマを効率的に混合させていることも判明しました。これにより、磁気フラックスが太陽表面から大気圏へと、既存のモデルで説明されるよりも急速に移動している可能性があり、太陽の約11年周期の活動サイクルや上層大気へのエネルギー輸送メカニズムに対する新たな洞察を提供しています。 Most detailed view of Sun's surface captured by world's largest solar telescope | ABC NEWS 研究チームは、渦が実際にどれだけのエネルギーを輸送しているのか、そして大規模な太陽イベントに対してどれほど直接的な寄与を果たしているのかを正確に評価するためには、さらなる観測データの蓄積が必要であるとしています。