暮らしの苦しみを訴える抗議デモが24日、フランスのほかイタリアやスペイン、ベルギーでも起きた。欧州各国で生活費の高騰や教育費削減に反対する市民の声が相次ぎ、一部では警察との衝突も発生している。
イタリア・ローマで数千人が教育費削減と老朽化校舎に抗議
イタリアの首都ローマで行われたデモには、現地メディアによると数千人が参加した。心理学を学ぶ大学1年のエレオノラさん(19)は「教育費削減に抗議するために来た」と話した。出身高校では天井全体が崩落するほど校舎が老朽化し、教師不足で3カ月間、国語や英語の授業がなかったこともあるという。「再軍備に注力するのに、なぜ教育費や医療費を削るのか」と疑問を投げかけた。
デモは全体としては平和的だったものの、イタリアのANSA通信によると、一部でデモ隊と警察が衝突し、催涙弾などが使われたという。欧州全体で豊かな暮らしを送るイメージが持たれるなか、足元では公共サービスの切り詰めに直面する市民の不満が表面化している。
スペイン・マドリードで公的年金維持と住宅不足を訴える2万5千人
マドリードでは24日、公的年金制度の維持などを求めるデモに市民が集まった。現地メディアによると当局発表で約2万5千人が参加した。北東部バルセロナから電車で3時間かけて参加したニエベス・ベサルドゥックさん(69)は、住宅不足などの問題を挙げ、「家賃が給料のほとんどを占めるような状況はあってはいけない」と訴えた。
子どもたちと沿道に立った教員のソルさん(49)は、勤め先の小学校が1970年代に建てられた校舎で、トイレの改修もされていない実態を語った。「どの学校でも質の高い教育を受けられるよう、政府の支援が必要だ」と指摘する。スペインでは人口増加や高まる観光需要を背景に、住宅不足や家賃の高騰が深刻化している。9月にはマドリードで87歳の女性が賃貸住宅から強制退去させられたことをきっかけに抗議が拡大し、中心部の広場では多数のテントを張った抗議活動がいまも続く。
ブリュッセル中心部で若者への連帯を示す市民デモ
ブリュッセル中心部でも24日、若者や教職員などが組織する四つの市民団体の呼びかけで、若者に連帯を示すデモが行われた。デモ前から警察官が周辺を巡回し、参加者とみられる市民の持ち物を検査した。マスクや液体などを没収し、後日返却するとして用紙に住所と氏名を記入させていた。
中等学校5年の生徒らは「私たちは親の世代より少ない資源で生きている」と暮らしの厳しさを訴えている。欧州の複数国で同日中に同様の抗議が起きた背景には、資源の減少や物価高に対する若年層や労働者の切実な危機感がある。
生活費高騰と社会保障の縮小に揺れる欧州の行方
豊かな暮らしのイメージとは裏腹に、教育環境の悪化や住宅価格の高騰、社会保障の削ぎ落としに抗議する声は欧州各地で強まっている。それぞれの国で事情や参加者の訴えに違いはあるものの、物価の上昇や行政サービスの低下に対する市民の不満は共通している。行政側がこうした市民の要求にどう応えるのか、今後の政策対応が注目される。