台湾軍は、10日間にわたる年次の漢光演習の一環として、台湾海峡に位置する澎湖諸島で中国軍による空挺・上陸強襲を想定した実弾迎撃演習を実施したと、ロイター通信が報じた。
澎湖諸島での上陸阻止演習と多層的防衛
第一作戦区の部隊は、夜明け前の時間帯に澎湖の海岸でM60A3戦車や各種火砲、対空砲を使用し、実弾射撃を行った。軍が「多層的防衛」と称する戦術により、急襲を試みる仮想敵への対抗態勢が検証された。澎湖諸島は台湾本島と中国本土の間に位置し、戦略的な要衝として北京側がミサイルやドローンの発射拠点として狙う可能性があると台湾の戦略家らは分析している。また、今回の演習には、作戦計画への統合と実戦的な備えの強化を進める一環として、14日間の訓練プログラムに参加している地元の予備役も加わった。
携帯電話通信制限と都市の防空・レジリエンス訓練
台湾政府は同日、中部の大都市・台中を中心に、年次の軍事演習としては初となる携帯電話のモバイルインターネット通信の意図的な速度低下(スロットリング)を実施した。これは、中国軍の攻撃や自然災害といった緊急時に通信帯域が逼迫した状況をシミュレーションしたものである。
台中では午後2時30分に空襲警報のサイレンが鳴り響き、人々が路上から避難したほか、政府から中国語と英語による「通信インフラへの模擬空襲」を告げる同時テキストメッセージが送信された。通信制限中も、ATM、信号機、固定電話、固定インターネットサービス、さらに緊急救急車の呼び出しといった主要サービスへの影響はなかった。台中駅では、市民の間から「ウクライナ戦争のようにインターネットが使えなくなる事態に備えるべきだ」という理解の声が聞かれた一方で、「屋外での体験は過酷だ」との不満も聞かれた。同様の通信制限訓練は、首都・台北を含む北部でも木曜日に実施される予定である。
米国流の訓練手法導入と今年の演習の背景
今年の漢光演習は、高度な兵器の誇示よりも、軍および社会の柔軟性とレジリエンス(回復力)に重点が置かれている。専門家によれば、今年の演習の構造は中国の継続的な軍事的脅威に直面する中で米国軍との緊密な結びつきを示しており、下級部隊が上官に対して任務の遂行計画を説明する「バックブリーフィング」などの米国式軍事訓練手法が取り入れられている。

また、今年の演習では、台湾海峡を挟む圧倒的な軍事力の非対称性に対処するため、約2万人規模にのぼる過去最大級の予備役が動員されている。都市のレジリエンスを高めるための訓練も高雄、台中、台北などの主要都市で順次行われており、戦闘準備と民間防衛を重視する姿勢が示されている。