米テネシー州ナッシュヴィルのリヴァーベンド最高警備刑務所で1日、クリスタ・パイク死刑囚(50)に対する薬物注射による死刑執行が試みられたが失敗し、同死刑囚は病院に搬送され重体となっている。弁護団やAFPBB Newsなどの報道で明らかになった。この事態を受け、同州のビル・リー知事は年内に予定されていたすべての死刑執行の一時停止を命じた。
テネシー州リヴァーベンド最高警備刑務所での経緯
死刑執行は30日午後8時ごろに始まった。AP通信によると、麻酔薬ペントバルビタールが2回投与されたが、証人室のカーテンは2回閉じられ、立ち会っていた報道関係者らは途中で退室を求められた。弁護団のランディ・スパイヴィー弁護士は1日、刑執行チームが1時間にわたり静脈への注射を試み、左腕だけで少なくとも7本の針が使われたと明らかにした。注射に失敗して腕から抜かれた際に曲がったとみられる針もあったという。

弁護団による緊急の申し立てと現在の健康状態
死刑執行のさなか、弁護団は執行停止を求める緊急の申し立てを行った。スパイヴィー弁護士は、パイク死刑囚が意識を失いながらも心臓が動き、いびきの音を立てていたと主張した。2回目の薬物投与後も、カーテンの向こう側で呼吸が続いているのが確認されたという。パイク死刑囚は現在、近くの病院で救命治療を受けており、弁護団は今後の健康状態や見通しについての最新情報はほとんどないとしている。
1996年の殺人事件と裁判をめぐる背景
パイク死刑囚は1996年、コリーン・スレマーさんを殺害した罪で死刑判決を受けた。当時18歳だったパイク死刑囚は、恋人だったタダリル・シップ受刑者と共に、問題のある10代向け職業訓練キャンプで知り合った19歳のスレマーさんを殴打、拷問の末に殺害したとされる。AFPBB Newsによると、遺体の胸部に悪魔崇拝のシンボルである五芒星が刻まれていたことから全米の注目を集めた。死刑情報センターのデータでは、1976年の死刑制度復活以降、米国で死刑を執行された女性死刑囚はわずか18人にとどまる。
ビル・リー知事による独立調査の命令と今後の見通し
事態を重く見たテネシー州のビル・リー知事は1日、今回の死刑執行の失敗に関する独立調査を徹底的に行うよう命じた。知事は、多くの疑問に対して州民が回答を得る権利があると指摘し、調査には時間がかかると述べている。担当者は現時点で明らかにされていない。今回の混乱を受けてリー知事は、12月3日に予定されていたギャリー・サットン死刑囚の刑執行を含む、年内のすべての死刑執行の一時停止を決定した。