ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が国連総会で北朝鮮兵捕虜の移送を公表した問題をめぐり、韓国の李在明大統領は2日、ウクライナが公式に謝罪しない場合は追加措置を講じると警告した。この対立は韓国国民と国家の尊厳に関わる問題として、両国間の新たな外交的火種となっている。
ゼレンスキー大統領による国連総会での捕虜移送公表
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は先月23日の国連総会での演説で、韓国との1年以上にわたる協議を経て、北朝鮮の捕虜2人を韓国のソウルに移送したと公表した。ゼレンスキー氏はその際、生け捕りにするのは容易ではなかったと述べている。韓国政府は、この移送について秘密裏に進めるという合意を破ったとして、ゼレンスキー氏を厳しく非難した。ウクライナのアンドリー・シビハ外相は1日に外交上の誤解であると釈明し、ウクライナ政府として解決に向けて取り組んでいると表明した。しかし、李在明大統領はソーシャルメディアへの投稿で、シビハ外相の説明は受け入れられないと断言している。
韓国大統領府とウクライナ側の秘密保持をめぐる対立
韓国大統領府は先週の声明で、非公開の合意には北朝鮮兵の家族を守る目的があったと説明している。さらに、ウクライナ人捕虜と交換する機会を放棄したとの批判を避けるため、ウクライナ側も移送の秘密保持を望んでいたと付け加えた。これに対し、ウクライナ大統領府は北朝鮮人捕虜の移送について秘密保持の合意は存在しなかったと反論し、両者の主張は真っ向から対立している。ゼレンスキー氏が移送を公表したことで、韓国国内では李大統領が厳しく批判される事態となった。韓国の野党は、李大統領が北朝鮮への配慮から移送を隠蔽しようとしたと非難を強めている。
シビハ外相による早期解決への期待とウクライナ側の姿勢
ウクライナのシビハ外相は1日にウクライナ・メディアに対し、今回の状況がごく近い将来に解決されることを願っていると述べた。外相は、ウクライナはそのために取り組んでおり、韓国は重要な国であると強調した。さらに、韓国との間で真に達成しつつある勢いや継続が、具体的な成果につながることを心から願っていると語っている。これに対し、韓国の李在明大統領は、ウクライナ政府が朝鮮半島に戦争をもたらそうとしていると強く非難した。李氏はソーシャルメディアへの投稿で、合意の事実を認めて謝罪するのではなく南北間で軍事衝突が差し迫っているかのような話をしていることに深い遺憾の意を表明した。
ロシア侵攻以降の韓国によるウクライナ支援の方針
ロシアがウクライナを本格侵攻して以来、韓国は一貫してウクライナに対して同情的な姿勢を示してきた。人道支援や国際社会での協調を進める一方で、戦争状態にある国には殺傷能力のある兵器を提供しないという韓国の長年の方針を変えることは拒否し続けている。今回の北朝鮮兵捕虜移送をめぐる対立は、従来の慎重な外交姿勢とウクライナ側との思惑のズレを浮き彫りにした形となった。非公開合意の有無や事後対応をめぐる両政府の溝は深く、今後の二国間関係に影を落としている。
今後の外交折衝と両国関係の行方
ウクライナ側が早期の事態収拾を模索する一方で、韓国側は国家の尊厳と公式な謝罪を求めており、事態の収束は見通せない状況にある。追加措置の詳細が明らかにされていない中、両国が外交ルートを通じてどのような妥協点を見出すのかが注目される。韓国国民と国家の尊厳に関わるこの問題において、ウクライナ政府がどのような対応をとるのか、今後の動向が厳しく注視されている。