ウクライナ軍はハルキウ州の前線に491日間1人で取り残されていた負傷兵コスチャンティン・ウラセンコさんを、ドローンを使用して救出したと発表した。Yahoo!ニュースなどの報道で明らかになったもので、ウクライナ側は前例のない作戦だとしている。
ハルキウ州の前線拠点に残された負傷兵の救出劇
ウクライナ軍は、ハルキウ州の前線に残されていた兵士をドローンで救出した際の映像を19日に公開した。救出されたのは第30機械化旅団に所属するコスチャンティン・ウラセンコさん(49)である。ウラセンコさんは脚に重傷を負いながらも、前線の陣地にとどまり続けていた。Yahoo!ニュースの報道によると、孤立したウラセンコさんとの連絡を保ち、支援を届けようとする試みが1年以上続いた末に今回の救出作戦が実施された。ロイターは正確な撮影場所と日付を独自に確認できていない。
491日間の過酷な孤立生活と自らの下した決断
ウラセンコさんはロイターの取材に対し、自分が救出されることはないだろうと思っていたと語り、「自分は死んだも同然だと思っていた。分かるだろう。491日間、ほぼ独りだった」と振り返った。ロシア軍のドローンが投下した弾薬によって脚と首を負傷した後、間に合わせの避難場所まではいって何カ月も身を隠したという。さらに、生き延びるために自ら脚を切断した壮絶な経緯を明かしている。「引きずるたびに、骨がますますむき出しになった。やるしかなかった。あの脚が邪魔になっていた」とウラセンコさんは感情をあらわにして語った。

ドローンが到着した瞬間の衝撃と記憶
ウラセンコさんは、救助のドローンが到着した瞬間について、ヘリコプターが着陸するようなものすごいごう音だったと表現した。「このうなり音は、一生忘れない。あの瞬間には、味さえあった。どんな味か説明できないが、確かにあった」と、その信じられない体験を語っている。戦場におけるドローンの活用は、5年目に入ったウクライナとロシアの戦争の様相を大きく変えており、双方が投資を続けている。ウラセンコさんは、自身の救助に向かった兵士たちがその途中で命を落としたとも証言している。
海上戦闘への拡大とドローン技術の多様化
一方、Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)の報道によると、ウクライナが開発してきた多種多様なドローンは陸戦だけでなく、海上戦闘のあり方も変えつつある。ニューヨーク・タイムズ紙の解説記事として伝えられたところでは、ウクライナ海軍は地対空ミサイルを搭載した海軍用ドローンを黒海で運用している。当初はロシアが制海権を握っていたが、ウクライナはドローン作戦によってロシアの黒海艦隊の約3分の1を撃沈するに至った。安価な市販品をベースとしたドローン開発には国内の27社が取り組んでおり、日本を含む各国からの協力提案も寄せられているという。

空中搬送の無人機技術と今後の回復
西日本新聞meの報道では、ウクライナの防衛企業スカイフォール社の無人機写真が伝えられており、無人機による負傷兵の空中搬送はウクライナ陸軍にとって「世界初」の試みとされている。戦闘地域を離れたウラセンコさんは現在、心の傷と重傷からの回復を目指している。長期間にわたる孤立と自ら脚を切断するという極限の状況を生き抜いた体験は、ドローン技術の進化が前線の兵士の命を救う新たな可能性を示す一方で、戦争の過酷な現実を改めて浮き彫りにしている。今後、こうした無人機による救助作戦や防衛技術の展開が、戦場の救命活動にどのような影響を与えていくのか注目される。