シンガー・ソングライターのレイが、2026年10月22日に英ニューカッウルのユーティリティ・アリーナで開催された授賞式で、セカンド・アルバム『ディス・ミュージック・メイ・コンテイン・ホープ』により2026年のマーキュリー・プライーズを受賞した。
英国およびアイルランドでその年に発表された最高のアルバムに贈られるマーキュリー・プライーズの2026年受賞作が発表され、レイのセカンド・アルバム『ディス・ミュージック・メイ・コンテイン・ホープ』が栄冠に輝いた。授賞式は北イングランドの都市ニューカッスルにあるユーティリティ・アリーナで行われた。賞金として2万5000ポンドが授与される。
73分の大作に込められた音楽的野心とジャンルの枠を超えた挑戦
受賞作となった『ディス・ミュージック・メイ・コンテイン・ホープ』は、ビッグバンド・ジャズ、パワー・バラード、ファンク、ソウル、ポップなどを縦横無尽に行き交う73分の大作だ。審査員団は、このアルバムについて「レイは、単なる一つのスタイルやジャンルを超越し、自身のビジョンを実現することで、アルバムがどのようなものであるべきかについて並外れた想像力とスケールを示した」と高く評価した。
アルバムには、映画音楽の巨匠ハンス・ジマーが参加した楽曲をはじめ、ヒットを記録したシングル『ホエア・イズ・マイ・ハズバンド!』などが収録されている。審査員団はさらに、オールドスクールなハリウッドの華やかさと、日常のリアルさを巧みに融合させ、若き女性が人生や愛の試練を乗り越えていく姿を描き出した点も称賛した。
希望というのは、特に私たちイギリス人にとっては非常にありふれた、安っぽい言葉に感じられるものですが、希望というのは誰もが必要としているものなのです。
レイ、授賞式スピーチにて(BBC、ガーディアン等各紙報道)
苦難の過去を乗り越えたキャリアの転換点
授賞式のステージに立ったレイは、涙ながらに自身のアルバムに対する信念を語った。
私はずっと、自分がいかにアルバムを信じているかについて言い続けてきました。アルバムという形式は非常に重要であり、シングルや次のヒットを追い求めるだけの場所から脱却して、今こうして認められたことに心から感謝しています。 レイ、ユーティリティ・アリーナでの受賞スピーチ
激戦となった2026年ノミネート作品との比較
| アーティスト名 | ノミネート作品 | 備考 |
|---|---|---|
| レイ | 『ディス・ミュージック・メイ・コンテイン・ホープ』 | 2026年受賞 |
| ポール・マッカートニー | 『ザ・ボーイズ・オブ・ダンジョン・レーン』 | 84歳で初のノミネート |
| オリヴィア・ディーン | 『ジ・アート・オブ・ラビング』 | 全英トップ10に55週連続ランクイン |
| スウェイド | 『アンティディプレッサントゥス』 | 過去の受賞者 |
| デイヴ | 『ザ・ボーイ・フー・プレイド・ザ・ハープ』 | 過去の受賞者 |
特に話題を集めたのは、84歳で初めてのノミネートとなったポール・マッカートニーの作品や、55週にわたって全英トップ10にとどまり続けたオリヴィア・ディーンのアルバムとの競合だった。また、フローレンス・アンド・ザ・マシーンはこのノミネートにより、受賞経験がないまま最多ノミネート記録を持つレディオヘッドに並ぶ不名誉なタイ記録となった。
ロンドンからニューカッスルへ、拡大する授賞式が示す商業化の波
2024年に長年のスポンサーを失ったマーキュリー・プライーズは、大規模な会場運営への移行を進め、前年の2025年からロンドンを離れてニューカッスルのユーティリティ・アリーナへと開催地を移転した。一方で、イン独立系アーティストの登竜門として知られてきた同賞が、近年ではメジャーレーベル所属の大型アーティストや商業的なヒット作を多数選出する傾向にあり、ブリット・アワードとの差別化が薄れているのではないかという懸念の声も音楽界の一部から上がっている。


それでも、インディペンデントな審査員団が下した今回の決定は、ストリーミング全盛の時代においてアルバムという形式が持つ芸術的な価値を再び浮き彫りにした。レイは授賞式の翌日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールにおいて、ヘリテージ・オーケストラやフレイムス・コレクティブと共にアルバム全曲を再構築する一夜限りの特別ライブコンサート『ディス・シンフォニー・メイ・コンテイン・ホープ』を開催する予定となっている。