オーストラリア代表のルーキー、ジャック・ボストックが劇的なハットトリックを記録し、ラグビーリーグ・ワールドカップの開幕戦でニュージーランド代表に24対22で競り勝った。41,255人の観衆が詰めかけたシドニーのアリアンツ・スタジアムで、王者オーストラリアが土壇場まで追い詰められながらも逆転勝利をもぎ取った。
2026年10月15日に行われたラグビーリーグ・ワールドカップの初戦は、国際試合の歴史に残る息詰まる激闘となった。大会の連覇を狙うオーストラリア代表「カンガルーズ」は、11年ぶりに同国でのテストマッチ勝利を狙う宿敵ニュージーランド代表「キウイズ」の猛攻に試合の大半で苦しんだ。試合を報じたAAPによると、オーストラリアは前半、ニュージーランドの強力なフォワード陣による「マウリング(蹂躙)」を受け、終始守勢に回る展開を強いられた。
ボストックのハットトリックと劇的な逆転劇
試合終盤まで主導権を握っていたのはニュージーランドだった。前半4分のカセ・マクリーンの鮮烈なトライで幕を開けた一戦は、ニュージーランドの組織的な攻撃が光り、オーストラリアのラインを何度も切り裂いた。特にニュージーランドのカリン・ポンガは、後半47分にトライを奪うなど、この日合計2トライを記録。アンドリュー・ヴォスが「史上最も並外れたワールドカップの開幕」と評した通り、激しい攻防が続いた。
しかし、オーストラリアにはデビュー戦となったジャック・ボストックという切り札がいた。後半75分、ボストックはキャメロン・マンステラのキックを空中戦でジャメイン・イサコから奪い取り、この日3つ目のトライを達成。これが決勝点となり、オーストラリアは「 undeserved(不当)」と評されるほど苦しんだ試合を、最終的に24対22のスコアで制した。チームメイトのリース・ウォルシュも後半68分にトライを決め、逆転への道筋を作った。
両チームを襲った主力選手の負傷
この激戦の代償は大きく、両チームにとって深刻な負傷者が発生した。オーストラリアのハーフバックであるミッチェル・モーゼスは、ふくらはぎの負傷により試合途中でピッチを去った。一方、ニュージーランドのフルバックであるカリン・ポンガも、後半の交錯プレーで腕を負傷。現地の報道によれば、骨折の疑いがあり、今後の大会出場が危ぶまれる状況となっている。特にニュージーランド側にとっては、11月15日の決勝戦を見据える中で、ポンガの離脱は大きな痛手となる可能性がある。

放送・視聴環境と大会の広がり
2026年大会は、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニアの3カ国で共同開催されており、合計53試合が予定されている。オーストラリア国内では、セブン・ネットワークと7Mateが全18試合を無料放送し、7Plusを通じてライブストリーミングも提供している。ニュージーランドでは、ThreeNowが主要試合を無料で放送するほか、スカイ・スポーツが全試合を網羅する体制を敷いている。

海外視聴についても、プレミア・スポーツが英国、アイルランド、米国を含む120カ国以上の放映権を保有している。大会組織委員会が「戦略的な目標」として掲げる国際的な普及の一環として、レバノンやフィジーといった新興勢力の参加も注目されており、特にレバノン代表にはマイケル・チェイカがコーチとして就任し、NRLで活躍するジェイコブ・キラズやジェイソン・サーブらを擁して大会に臨んでいる。
今後の展望
開幕戦を辛勝で飾ったオーストラリア代表は、次なる試合に向けてコンディションの立て直しを迫られる。クリスティアン・ウルフ監督は、アディン・フォヌア=ブレイク、ジェイソン・タウマルロ、ステファノ・ウトイカマヌといった強力なパックを保持しており、戦力は依然として充実している。しかし、今回の苦戦は、今大会がこれまで以上に競争の激しいものになることを示唆している。男子の決勝戦は11月15日に予定されており、多くの専門家がオーストラリアとニュージーランドの再戦を予想する中、大会の行方から目が離せない。