ヨルダン川西岸のアブファラで16日、オリーブ収穫中の住民を覆面をしたイスラエル人入植者数十人が襲撃し、取材中の米紙ワシントン・ポストのフォトジャーナリスト、ハイディ・レビン氏を含む少なくとも2人が負傷した。ロイターなどが報じた。
アブファラで発生した入植者による襲撃事件
ヨルダン川西岸のアブファラにおいて16日、オリーブの収穫を行っていたパレスチナ人住民がイスラエル人入植者の集団から襲撃を受けた。ロイターの現場目撃情報によると、約80人の入植者が畑を見下ろす丘から降下し、一部は投石器を使用して住民に石を投げつけた。襲撃のさなか、イスラエル軍のジープが現場一帯を走行し、軍の到着後も暴力行為は継続した。イスラエル兵は逃走する住民に向けて催涙ガスを発射し、現場では実弾の発砲音も確認された。ロイターの写真記者は、武装した入植者が銃を撃つ様子を少なくとも1件目撃している。
負傷したワシントン・ポスト記者と当局の対応
この襲撃により、米紙ワシントン・ポストのフォトジャーナリストであるハイディ・レビン氏が負傷し、病院へ搬送された。ロイターによると、レビン氏は病院での取材に対し、地面に突き倒された上で繰り返し蹴られたと証言。「防弾チョッキとヘルメットを着けていなければ、今ここにいなかったかもしれない」と当時の恐怖を語った。ワシントン・ポストのマット・マレー編集主幹は声明で、レビン氏がジャーナリストであることを示す標章を着用していたと指摘し、当局に徹底的な調査と適切な対応を求めた。
収穫期に多発する入植者による暴力
アブファラでの襲撃に先立つ16日朝には、近隣のトゥルムスアヤ村でも入植者による襲撃が発生した。この際、オリーブを収穫していた農家が襲われ、車両3台が放火されている。イスラエルの入植活動を監視する人権団体「イェシュ・ディン」のデータによれば、ヨルダン川西岸における入植者からパレスチナ人への暴力は急増している。
- 9月27日のオリーブ収穫開始以降、確認された襲撃件数は少なくとも170件に上る。
- イスラエルのネタニヤフ首相は暴力を批判しているものの、取り締まりのための具体的な措置はほとんど講じられていない。
高まる緊張と今後の懸念
オリーブの収穫期に合わせた入植者による襲撃は、占領下のヨルダン川西岸で深刻な安全上の懸念となっている。人権団体が指摘するように暴力件数が高止まりする中、ジャーナリストが標的となる事態も発生しており、現地の緊張は一層高まっている。イスラエル政府による実効的な取り締まり策が講じられない限り、農作業を行う民間人や取材を続ける報道関係者に対する脅威は今後も続くとみられる。