2026年10月28日、フロリダ州セントピーターズバーグのトロピカナ・フィールド。タンパベイ・レイズとのワールドシリーズ第5戦を4対1で制したブルワーズは、球団創設58年目にして初めてのワールドシリーズ王者に輝いた球団史上初のワールドシリーズ王者に輝いた。その中心にいたのが、グラウンド上でベネズエラ国旗を誇らしげに掲げた28歳の正捕手ウィリアム・コントレラスだった。
攻守で発揮された圧倒的な存在感と記録的な挑戦
コントレラスはシリーズ5試合で打率3割8分1厘(21打数8安打)をマークし、1二塁打、4打点を記録した。また、守備面においてもロボット・アンパイア(ABS)制度を巧みに利用し、レギュラーシーズンではメジャー最多となる185度の挑戦と105度の判定覆りを記録した。
今ポストシーズン、コントレラスはメジャーリーグの捕手で最多となる33度の判定挑戦を行い、ポストシーズン通算で22度の覆りを勝ち取った。ワールドシリーズの舞台だけでも13度の挑戦で10度の判定覆りに成功し、レイズの機動力に対しても盗塁企図9件中4件を刺すなど相手の走塁を効果的に封じ込めた。
「魔法なんかじゃない。毎日試合に出続けている経験と、素晴らしい投手陣のおかげさ。どこの投手も球がエグいからね、彼らが僕を助けてくれたんだ」
ウィリアム・コントレラス、ブルワーズ捕手(MLB提供の通訳を介した発言)
パット・マーフィー監督とチームメイトが語る信頼
今季のチーム躍進を支えたブルワーズのパット・マーフィー監督は、コントレラスの勝利への執念や日々の姿勢について絶大な信頼を寄せている。試合前にはコントレラス本人に対して「君がワールドシリーズのMVPになる」と告げていたという。
「ウチのピットブル(闘犬)だ。ただ近づいて頭をなでようなんものなら、噛みつかれる危険がある」
パット・マーフィー、ブルワーズ監督(ESPN提供)
投手陣からの信頼も厚く、ポストシーズンを通じて圧倒的な投球を続けたアーロン・アッシュビーは、「彼は毎日試合に出て、このチームはこの男なしでは成り立たないこのチームはこの男なしでは成り立たない」と語気を強めた。また、コントレラス自身は試合後のインタビューで、ボストン・レッドソックスに所属する34歳の兄ウィルソン・コントレラスの存在が自身の支えであると明かしている。
「兄貴は僕のロールモデルなんだ。友達は多くないけれど、彼が僕の友達さ。何か尋ねたいことがあれば、いつもウィルソンに聞いてきた」
ウィリアム・コントレラス、ブルワーズ捕手(ESPN提供)
ベネズエラ野球史に残る異例の同一年ダブル制覇
捕手としてワールドシリーズMVPを受賞したのは、1972年のジーン・テナス、1976年のジョニー・ベンチ、1981年のスティーブ・イェーガー、1982年のダレル・ポーター、1983年のリック・デンプシー、1992年のパット・ボーダーズ、そして2015年のサルバドール・ペレスに続き、史上8人目の快挙となった。
「ベネズエラにいるすべての人々が僕にとって計り知れないほど大きな意味を持っている。僕の国なんだ」 ウィリアム・コントレラス、ブルワーズ捕手(スポーツネット提供)

アトランタ・ブレーヴス時代を含めてメジャー7シーズン目を戦ったコントレラスは、2021年のブレーヴスでもワールドシリーズのロースターに入っていたものの出場機会はなかった。しかし今回のミルウォーキーでは、レギュラーシーズンで打率2割7分、18本塁打、キャリアハイとなる94打点をマークし、チームを4年連続のナ・リーグ中地区優勝に導いた。さらに、同年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でもベネズエラ代表の一員として初優勝を経験しており、チームメイトのジャクソン・チョーリオ、アントニオ・センサテラと共に、同一年でWBCとワールドシリーズの両方を制覇するという歴史的快挙を成し遂げた。.