イスラエル総選挙を目前に控える10月16日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、パレスチナ人の扱いをめぐり同国の「道徳的優位性」が失われたとしたバラク・オバマ元米大統領の発言に対し、強い遺憾の意を表明した。AFPBB Newsが報じた。
オバマ氏が北アイルランドで述べたイスラエルの安全保障と報復の連鎖
オバマ氏は13日に英領北アイルランドのベルファストで開催されたイベントで、自身の在任中にネタニヤフ氏へ直接伝えた見解を明かした。報復の連鎖を断ち切るには、より強い側が責任を負う必要があると指摘し、軍事的な優位に頼る現在の姿勢は短期的には機能しても、長期的には破滅的な結果を招くおそれがあると警告した。AFPBB Newsが伝えたオンライン投稿の動画で明らかになった。同時に、2023年10月7日にイスラエルを攻撃したイスラム組織ハマスについては厳しく批判している。
ホロコーストの歴史とパレスチナ人の土地をめぐる双方の主張
イスラエルメディアが大きく取り上げた発言の中で、オバマ氏は1948年のイスラエル建国背景にあるホロコーストの影にも言及した。数千年にわたり抑圧や差別を受けてきたユダヤ人が安住の地を求めたことは理解できるとする一方で、ユダヤ人が他の人々であるパレスチナ人の土地を奪い、追放したことも否定できない事実だと指摘している。土地を奪われた人々が不当性を主張し、取り戻したいと望むのも理解できると述べた。
ネタニヤフ首相が動画投稿で示した激しい反発と祖国への主張
これに対しネタニヤフ首相は、オバマ氏の発言を引用した動画を自身のオンラインアカウントに投稿した。イスラエルは外国の占領者ではなく、歴史は植民地事業でもなく、土地を盗んだものでもないと強く主張している。ここは先祖の土地であり祖国であるとし、イスラエル側がヨルダン川西岸南部を指す「ユダヤ」という呼称を用いて反論した。イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来、ヨルダン川西岸を占領し続けている。
過去の米政権との対立と総選挙に向けた国内の動向
通算の在職日数がイスラエル首相として最も長いネタニヤフ氏は、共和党のドナルド・トランプ米大統領と緊密な関係を築いてきた。これに対し、2009年から2017年まで大統領を務めた民主党のオバマ氏とは激しく対立した経緯がある。オバマ政権の対イラン外交を非難するために共和党と公然と連携した過去もあり、両氏の間には深い溝が存在する。
接戦が予想される総選挙と外国勢力に対する警戒感
接戦が予想される総選挙を目前に控え、ネタニヤフ氏は外国勢力が自身の敗北を望んでいると有権者に繰り返し訴えている。特に米ニューヨークのゾーラン・マムダニ市長がイスラエルを厳しく批判していることに対し、強い攻撃姿勢を示してきた。選挙戦の行方や国内外からの圧力に対し、政権がどのような対応をとるのかが注目されている。