ウクライナへの北朝鮮兵捕虜移送の公表を巡り、韓国政府は駐ウクライナ大使を召還する事態に発展しています。韓国外交部は謝罪と再発防止を引き続き要求していますが、ウクライナ側は「事案は終結した」との立場を示すなど、両国の外交的溝は依然として埋まっていません。
駐ウクライナ大使の召還に至った経緯
韓国政府は今月8日、朴基彰(パク・ギチャン)駐ウクライナ大使の本国召還を決定しました。この措置は、ウクライナのゼレンスキー大統領が先月23日、国連総会での演説で北朝鮮兵捕虜2人の韓国移送を一方的に公表したことに端を発しています。韓国メディア「韓察日報」によると、韓国政府は当初、捕虜の移送について非公開とする合意があったと主張しています。しかし、ウクライナ側が「非公開の合意はなかった」と反論したため、韓国側は正式な説明と謝罪を求めました。この要求が受け入れられない中、韓国政府は「懲罰」的な意味合いを含めて大使召還という強硬策に踏み切ったと報じられています。
欧州主要国による仲介の動き
ウクライナとの対立が長期化する中、欧州の主要国が事態の打開に向けて動いています。韓国外交部の当局者は15日、記者団に対し、欧州の主要国が韓国とウクライナの対立を注視し、仲介する意向を伝えてきていることを明らかにしました。中央日報日本語版によると、この動きは、韓国がウクライナ支援を継続する対ロシア共同戦線から離脱することを欧州側が懸念しているためとみられます。韓国政府としても、外交的な孤立を避け、ウクライナ支援を継続する姿勢を示すことで、欧州諸国との関係悪化を回避したいという意図が働いています。
謝罪要求と「終結」の主張で食い違う両国
韓国政府とウクライナ政府の間では、事態の収束に向けた認識に開きがあります。wowKoreaによると、ウクライナのシビハ外相は今回の件について「すでに終結した事案」と述べています。これに対し、韓国外交部は「発言の正確な意図は分からない」としつつも、謝罪と再発防止の要求は有効であると明言しました。韓国外交部当局者は、謝罪と説明を巡る問題が解決されれば、大使の復帰を前向きに検討する意向を示しています。現時点では、両国ともに外交的な意思疎通は継続しているものの、具体的な解決策は見いだせていません。

韓国内で広がる「ウクライナ離れ」の議論
今回の対立を機に、韓国内では対ウクライナ政策の見直しを求める声も上がっています。Yahoo!ニュース(エキスパート・辺真一氏)によると、独立系メディア「プレシアン」には、ユーラシア戦略研究所長の朴ビョンファン氏による寄稿が掲載されました。同氏は、ウクライナ側が韓国に対して高圧的な態度を取ってきたと指摘し、「もはや関わらないのが得策だ」と主張しています。また、多くの韓国主要紙の社説でも、大使召還という強硬策は国益にかなわないとの批判が目立ちます。特に戦後復興事業への参加といった経済的な観点から、早期の外交的解決を求める声が強まっています。

官邸水道使用量を巡る国内の政争
外交問題と並行して、国内では李在明大統領夫妻の官邸水道使用量を巡る論争が激化しています。「韓察日報」によれば、野党は李大統領の入居初年度の使用量が、尹錫悦前政権の同時期より1206トン多いと指摘し、「象でも飼っているのか」と強く追及しました。これに対し、尹前大統領夫妻も退任直前の7日間で一般世帯の約75倍という大量消費を記録していたことが判明しています。過去の「果物購入疑惑」の蒸し返しも含め、官邸の管理を巡る泥沼の政争は、11月に予定される青瓦台公邸への転居を控えても収束の兆しが見えません。
大使復帰に向けた今後の見通し
ウクライナでの戦時下という特殊な状況を考慮し、韓国政府内では大使不在の長期化がもたらす負担を懸念する声も出始めています。外交筋は、両国の外相が対立緩和に向けた共通認識を持っていることから、双方が事態の打開策を模索するだろうと予測しています。しかし、韓国政府が求める「謝罪」と、ウクライナ側が主張する「事案の終結」という立場の違いは依然として大きく、大使がいつ現地へ復帰できるのか、その具体的な見通しは立っていません。
