2026年のノーベル平和賞に国際刑事裁判所(ICC)の元判事であるナバネセム・ピレイ氏の授賞が決まったと、mainichi.jpが報じた。戦争犯罪などを裁く国際法廷で人権を守り抜いてきた実績が評価された一方、大国からの圧力や制裁が相次ぐ異例の局面で発表された。
国際刑事裁判所の元判事がたどった差別との闘い
南アフリカでアパルトヘイト政策の下に生まれたピレイ氏は、インド系の女性弁護士としてキャリアをスタートさせた。mainichi.jpによると、1998年にはルワンダ内戦を裁く国際法廷の判事として、特定の集団を絶やす意図がある個別の性暴力はジェノサイドに当たると判断し、重要な判例を残した。2025年にはイスラエルによるガザ地区での戦闘をジェノサイドと認定する報告書をまとめており、一貫して国際法の力で暴力を抑止してきた。朝日新聞の報道では、現在は国際司法裁判所(ICJ)の特任裁判官を務めていることも伝えられている。
ロシアと米国からの強まる外圧とあからさまな脅し
古巣であるICCは現在、大国からの強い圧力にさらされている。平和賞発表の前日、ロシアはウクライナ侵攻を巡るプーチン大統領への逮捕状発付に反発し、ICCの赤根智子所長らの身柄引き渡しを関係国に求めた。さらに授賞直後、米国はICCを制裁対象に指定した。mainichi.jpの報道によれば、トランプ大統領は受賞決定に対して「聞いたことがない人物だ」と冷笑し、組織の解体を狙う動きを見せている。ハンギョレ新聞の報道を引用する形でYahoo!ニュースが伝えたところによると、ピレイ氏はAFP通信の会見で、米国の制裁はトランプ氏がノーベル賞を受賞できなかったことへの反応であり、司法の独立に対する違法な妨害だと強く批判している。
イスラエル首相を巡る法的闘争と国際社会の反応
イスラエル側も今回の受賞に対して激しく反発している。Yahoo!ニュースが伝えたハンギョレ新聞の報道によると、イスラエル外務省はピレイ氏の受賞についてナチスの宣伝担当責任者に言及する論評を出し、ネタニヤフ首相も同氏を偏狭で頑固だと非難した。これに対しピレイ氏は、これまでの人生で様々な困難が克服される姿を見てきたとして、イスラエルのネタニヤフ首相が最終的にICCの法廷の被告席に立たされると確信していると述べた。大国や当事国からの激しい非難や制裁が飛び交う中での受賞となったが、国際法秩序を保つための専門家の役割に改めて注目が集まっている。
静かなる発表週間の中で浮き彫りになった課題
10月5日から始まった2026年のノーベル賞発表週間は、12日で幕を閉じた。朝日新聞の報道では、平和賞に選ばれたピレイ氏のほか、文学賞にはカナダの詩人であるアン・カーソン氏が選ばれ、経済学賞には米国の大学教授2人が選ばれたことが報じられている。各賞の顔ぶれが決まる一方で、平和賞を巡っては法の支配を貫こうとする国際司法の現場と、自国の利害を優先して組織の機能を阻害しようとする大国との溝が深く浮き彫りになった。

国際法秩序の行方と今後の見通し
力による現状変更や国際機関への露骨な介入が続く現状において、今回のノーベル平和賞授賞はICCの役割を世界に発信し、支援する強い意思表示となった。ピレイ氏が訴えるように、独立した司法に対する妨害は容認できないものであり、国際社会全体で法秩序を守るための連携をいかに強化できるかが今後の焦点となる。