ロシア軍がウクライナ侵攻で使用するジェットエンジン付きドローンの新たな発射拠点が、ロストフ州で建設されていることがわかった。ロイター通信が衛星画像をもとに報じたもので、完成すれば1日に100機以上の発射能力を持つとみられる。本格的な冬の到来を前にインフラ破壊の脅威が高まっている。
ロストフ州に出現したサッカー場126面分の巨大拠点
ウクライナと国境を接するロシア南西部のロストフ州で、ロシア軍の新たなドローン発射拠点が異例のスピードで建設されている。ロイター通信の報道によると、8月31日時点ではサッカー場126面分の広さの完全な更地だった敷地が、わずか6週間ほどの間に一変したという。
9月21日には幾何学的な形の構造物が出現し、複数の車両が往来した跡が確認された。さらに10月11日時点の衛星画像では構造物の輪郭が鮮明になり、画面の左側には平行に並ぶ8本の灰色のレーンが姿を現した。軍事専門家の見解として、これらはジェットエンジン付きドローンの発射レーンであると伝えられている。
時速600キロで飛来する「ゲラニ4」と「ゲラニ5」の脅威
ロストフ州の新しい施設から発射されるとみられるのは、ロシア軍のジェットエンジン付きドローン「ゲラニ4」および「ゲラニ5」である。乗りものニュースの報道では、ウクライナ国防省情報総局が5月に「ゲラニ4」を公開し、その後も同型のジェット推進型自爆ドローンに対する防空戦闘が連日報じられている。
従来型のプロペラ推進型ドローンが時速150キロ程度であるのに対し、ジェットエンジン付きは最高時速600キロに達する。ゼレンスキー大統領は9月28日の演説で、この高速ドローンの迎撃率が57%にとどまっていると述べており、首都キーウの橋や各地のエネルギー関連施設への被害拡大が深刻な問題となっている。

携帯式ミサイルでの撃墜とウクライナ側の防空網の課題
ウクライナ軍は高速で飛来する脅威に対し、手持ちの装備で防衛を試みている。乗りものニュースによると、ウクライナ国防省は2026年10月12日、携帯式防空ミサイルシステムのFIM-92「スティンガー」を使用してロシア軍のジェット推進型自爆ドローンを撃墜する映像を公開した。
一方で、防空体制をめぐる別の懸念も浮上している。テレビ朝日系(ANN)の報道によれば、ウクライナ軍に提供されている米スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」において、高速ドローンを迎撃するためのウクライナ側ドローンに速度制限がかけられ、一部の無人機が迎撃できなくなっているという。ゼレンスキー大統領はこれを「容認しがたい」と批判している。

ウクライナ軍によるモスクワへの大規模ドローン攻撃と今後の情勢
ロシア本土側でも防衛上の混乱が続いている。テレビ朝日系(ANN)は16日未明から朝にかけて、ウクライナ軍がロシア南部やモスクワに向けて大規模なドローン攻撃を行ったと伝えた。この影響でモスクワのすべての空港が一時閉鎖され、民間機およそ200便に欠航や遅れが生じた。
米誌アトランティックの報道として、ウクライナ側がロシアの空港機能を麻痺させる「M&Ms作戦」と呼ばれる計画を進めており、AI搭載の小型ドローンを用いた直接攻撃を模索していることも明らかにされた。ロストフ州の新拠点が近く本格稼働を始めれば、ロシア側の攻撃能力はさらに強化されるとみられ、冬を迎えるウクライナとの間で一段と激しい攻防が予想される。