米国のドナルド・トランプ大統領はロシア関連の制裁と関税を免除し、これに対し、後任のダーライン・グラハム上院議員や他の共和党議員から批判の声が上がっている。.
サウスカロライナ州選出のドナルド・トランプ大統領は2026年10月17日、ロシアのエネルギー部門などを標的とした制裁措置の免除を発表した。この制裁法は、同年9月に署名・成立したもので、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアの資金源を断つことを目的に据えていた。しかし、政権は発動予定を目前に控えて発動を見送る判断を下した。
リンジー・グラハム氏の遺産とロシア制裁法の狙い
同法の規定では、大統領がロシアに対する経済制裁の適用を見送る場合、議会へ通知することが求められていたが、ホワイトハウスには幅広い免除や猶予を認める裁量が与えられていた。トランプ大統領はこの権限を行使し、ウクライナ侵攻の継続に抗うための主要な経済的手段を当面封じる形となった。
後任のダーライン・グラハム氏による批判と党内からの反発
今年7月に故リンジー・グラハム氏の後任として上院議員に任命されたダーライン・グラハム氏(共和党、サウスカロライナ州)は、トランプ大統領の決定について公然と苦言を呈した。再選を目指す選挙戦の最中であり、大統領からの後押しを受けている立場からの異例の発言となった。
「個人的には、ロシアに圧力をかけて戦争を終わらせ、ガソリン価格を下げさせる道を選びます。プーチンもロシアも信用していないからです。」
ダーライン・グラハム上院議員、Inquirerの報道に基づく発言
党内からは、さらに強い調子での非難が上がっている。ノースカロライナ州のトム・ティリス上院議員はソーシャルメディア上で、今回の決定を「責任逃れの極み」と一蹴した。また、テキサス州のジョン・コーニン上院議員は「リンジーならぞっとするだろう」と投稿した。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領も、この免除がウラジーミル・プーチン露大統領を勢いづかせ、戦争を長引かせることになると警告している。
マルコ・ルビオ国務長官が説明する60日間の検証期間
免除措置の発表翌日となる10月17日、マルコ・ルビオ国務長官は、政権がロシア制裁および関税の経済的影響を評価するため、最大60日間の時間を設ける方針であることを明らかにした。ウクライナでの戦争や中東情勢の混乱が重なり、世界のエネルギー供給が打撃を受ける中での慎重な判断だという。
ルビオ国務長官は、ロシア産エネルギーに依存するインドのような米国にとって重要なパートナー国への影響も考慮する必要があると指摘している。トランプ大統領自身も、フロリダ州パームビーチの「マール・ア・ラゴ」で記者団に対し、私の決定がどうなるかはまだ分からないが、いずれ分かることだ
と述べ、最終的な判断を留保している。
ディーゼル供給合意と選挙戦への影響
ロシア制裁の免除と並行して、米政権はロシアから世界市場へのディーゼル供給を増やす別の合意も防衛している。イランとの戦争やエネルギー供給の混乱によって急騰した燃料価格を抑える狙いがある。ルビオ国務長官によると、この合意に基づき、ロシアはまず30万トンを超えるディーゼルを米国に供給し、11月以降も出荷を続ける予定だという。

こうしたエネルギー政策をめぐる動きは、11月に迫った中間選挙の最大の争点となっている高騰するエネルギー価格に直接絡んでいる。サウスカロライナ州の民主党候補であるアニー・アンドリュース氏は、グラハム氏がトランプ大統領の政策に盲従し、有権者の負担増大を招いていると批判を強めている。
トランプ大統領は、サウスカロライナ州で予定されているダーライン・グラハム氏の応援集会を控えており、ビデオメッセージを通じて同氏への支持を改めて表明した。