テスラは、テキサス州ウエーコ近郊のスペースXのテスト施設にて、長年開発が遅れていた次世代の新型「ロードスター」を初披露したと、CNBCなどが報じた。イベントでは、宇宙開発企業スペースXの技術を用いた実演が行われ、同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が「世界初の空飛ぶ車」になると主張する新型スポーツカーの機能が紹介された。
テスラが新型ロードスターを披露:スペースXの技術を活用した「空飛ぶ車」の実現
発表イベントには、マスク氏のほか、デザインリーダーのフランツ・フォン・ホルハウゼン氏や、ビークルエンジニアリング担当副社長のラース・モラヴィ氏らが出席した。The Vergeによると、実演では無人制御されたロードスターが垂直なランプを登り、反転してコールドガススラスターで着地する様子や、サイバアートラックなどの既存モデルを跳び越えるパフォーマンスが披露された。モラヴィ氏は、同車には600リットルの圧縮空気に接続された10基のスラスターが搭載されており、車内のあらゆる空洞に炭素繊維複合圧力容器(COPV)が詰められていると説明している。
開発の歴史と繰り返されてきた延期
新型ロードスターの構想は、2017年のテスラ・セミの発表会で「ワン・モア・シング」としてサプライズ公開されて以来、約9年の歳月を経ている。TechCrunchによると、当初は数年以内の納車が予定されていたものの、モデル3の生産地獄やモデルY、サイバートラックといった他プロジェクトの優先により、2020年、2021年、2023年、2024年と幾度も延期を重ねてきた。
この長期にわたる遅延の間、初期購入者からは5万ドルのデポジットや、1,000台限定の「ファウンダーズ・シリーズ」向けに25万ドルのデポジットが支払われており、ユーチューバーのマルケス・ブラウンリー氏やオープンAIのサム・アルトマン氏ら高名な顧客が声を上げる事態ともなっていた。
今後の展望と生産スケジュール
テスラは最近になって予約受付を再開し、パフォーマンス仕様には5万ドル、スラスト仕様には25万ドルのデポジットを課している。「ロケット」と呼ばれる1人乗りのトリムは招待制とされている。マスク氏は、同車が2028年に生産開始される見込みを示しているが、過去の度重なるスケジュール遅延の経緯もあり、実用性や安全性に関する課題も指摘されている。

スミソニアン航空宇宙博物館の航空部門学芸員であるロジャー・コナー氏は、CNNの取材に対し、地上走行用の安全装備と航空機の軽量化の相反する性質に言及し、持続的な飛行ではなく「ホッピング(飛び跳ね)」に過ぎないのではないかとの懸念を示している。また、マスク氏自身もイベント内で、同車が安全性を最適化した車両ではなく、公道での走行承認を得られない可能性があることに言及している。