テスラはテキサス州のスペースX施設で開催されたライブ配信イベントにおいて、スラスターや高圧ガスブースターを装備した長期にわたり遅れていた新型「ロードスター(Roadster)」スポーツカーを公開した。
テキサス州のスペースX施設で行われた新型Roadsterのデモ走行
今回の公開は、2017年11月の第2世代コンセプト発表から約9年越しの展開となる。当時は2017年11月の発表会に合わせて、顧客が5万ドルのデポジットを支払うか、ファウンダーズ・シリーズモデルとして25万ドルを全額前払いすることが可能になっていた。待ちぼうけとなった予約者に対し、マスクはこれまでの業績説明会でロボティクスや自動運転プログラムを最優先してきたとして謝罪していた経緯がある。しかし、2025年夏にはデザイン作業が加速され、今回のサプライズ発表へとつながった。
木曜日の夜にテキサス州のテスラおよびスペースXのテスト施設で実施されたデモ走行において、新型車は大きな湾曲したランプを駆け上がり、車体が逆さになった状態から空中へと発射された。重力を無視するかのように表面に張り付いたのち空中で180度回転し、最終的にタイヤで着地する様子が実演された。別のライブ配信のレポートでは、テスラの電気セミトラックの頭上でロードスターが反転したことも伝えられている。イベントを主催したイーロン・マスクCEOは実演の直後に「うまくいった」と述べ、テスラの車両エンジニアリング部門副社長であるラース・モラヴィも「空飛ぶクルマは実在する」と語った。
イーロン・マスクCEO(CBS News報道)
極高圧エアタンクとテスラ・スペースX間の技術協力
長年、技術的および規制上の壁に阻まれて実現していなかった空飛ぶクルマの分野において、今回のテスラ車は宇宙開発企業の技術を地上用車両に応用した点が最大の特徴となっている。マスクは今回の開発について、世界最高の自動車会社と世界最高のロケット会社が手を組んだ成果であると表現した。
車体には空中に推進力を生み出すため、超高圧空気タンクや下部に配置されたスラスターが装備されている。空飛ぶクルマというアイデアそのものは、1917年にアメリカの航空パイオニアであるグレン・カーチスが最初のプロトタイプを発表して以来、自動車の歴史とほぼ同じ長さの歴史を持っている。しかし、近年になって高性能バッテリーや電気モーターが大きく進化したことで、より現実的な開発が進められるようになった。
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未確定なスペックと2028年の生産開始予定
新型Roadsterの仕様を巡っては、完全なスペックシートがまだ明かされていない。.
今回の発表に伴う別の記録映像では、新型車が0-60マイル加速を0.81秒で達成する様子が示された。ただし、これは独立した機関による検証済みのテストではなく、別の録画デモ映像に基づく数値である。車内ではステア・バイ・ワイヤが確認され、マスクは同車を「最後の良質なドライバーズカー」と位置づけている。
市場への影響と規制当局をめぐる不透明さ
ウォール街のアナリストであるヨークビル・アイヴスのダン・アイヴスは、リサーチノートの中で、このスポーツカーが販売台数や収益を大きく動かすことはなく、生産台数も限定的になると指摘している。その一方で、市場のトップにおけるブランドハローを回復させ、重要な決算発表の直前にエンジニアリングの粋にスポットライトを当てる効果があると分析している。
規制や法律面においては、テスラのウェブサイト上で「フル・フライト・システム」を搭載したロケットモデルが招待制のみで提供される予定であることや、計画中の飛行モデルが公道での走行認可を受けていないことが明記されている。非飛行モデルのロードスターについては、オンラインで5,000ドルのデポジットを支払って予約を行うことが可能だが、限定版のスラストモデルはオンラインでの予約を受け付けていない。アメリカの国家道路交通安全局(NHTSA)は通常車両の規制監督を行っているが安全認証は自動車メーカーに委託しており、今回の発表に対するコメントの要請には直ちに応じなかった。また、連邦航空局(FAA)はCBSニュースに対し、今回の車両が同機関の定める航空機の定義に該当しないとの見解を示している。
テスラは、2028年の車両生産開始を見込んでいる。