イギリス内務省は16日、キア・スターマー前首相に関連する住宅や乗用車が放火された事件をめぐり、有罪判決を受けて服役していたスタニスラフ・カルプッチ受刑者(28)を国外追放したと発表した。
ウクライナ生まれのカルプッチ受刑者、国外へ
イギリス内務省は16日、ウクライナ生まれでルーマニア国籍のスタニスラフ・カルプッチ受刑者をすでにイギリスから強制送還したと明らかにした。追放先は公表されていない。
同受刑者は、キア・スターマー前首相に関連する住宅や乗用車への放火事件に関与したとして、今年6月に有罪評決を受け、拘禁2年の判決を言い渡されていた。
内務省報道官は、一連の犯行について金銭の約束に目がくらんだ者に対する明確な警告であると述べ、必ず捕まり厳しい結果に直面すると強調している。
ロンドン北部で相次いだ標的型放火
スターマー氏が首相在任中の2025年5月8日、ロンドン北部で同氏がかつて所有していた乗用車が路上で燃えているのが見つかり、一連の襲撃事件が始まった。
その3日後には、近くのイズリントンで数年前に住んでいた住宅が炎上しているのが発見された。
さらに5月12日には、妻の女きょうだいに貸していたケンティッシュ・タウンの住宅の入り口でも火災が見つかり、当時屋内には住民がいたことが確認されている。
共犯者ロマン・ラヴリノヴィッチ受刑者への判決
昨年5月に起きた一連の事件では、カルプッチ受刑者とともにウクライナ国籍のロマン・ラヴリノヴィッチ受刑者(22)も放火を共謀した罪に問われた。
裁判では、ラヴリノヴィッチ受刑者が「EL」という偽名を使うロシア語話者にオンラインで勧誘されたと検察が説明している。
裁判所は今年6月、ラヴリノヴィッチ受刑者に対して拘禁7年の判決を下し、カルプッチ受刑者とともに実刑判決が確定していた。
ロシア語話者「EL」の正体と国家の影
BBCの確認によると、ラヴリノヴィッチ受刑者に指図していた「EL」は若いロシア人外交官であり、ロシア政府の最高レベルに近くプロパガンダを広める扇動家やスパイから情報戦教育を受けていることを示す証拠がある。
「EL」は、ほかの攻撃を実行すれば引き換えにロシア市民権を与えると約束し、ウラジーミル・プーチン大統領を称賛するメッセージを複数送っていたことが明らかになっている。一連の事件はロシア側の関与が指摘されており、事件の背後にある国家ぐるみの工作活動について、関係当局が引き続き詳細を追っている。