長島愛生園を訪れた杉良太郎さんと全国慰問の歩み
平均年齢が90歳に迫る国立ハンセン病療養所・長島愛生園に、歌手の杉良太郎さんが姿を見せた。
厚生労働省特別健康対策監を務める杉さんは20日、妻の伍代夏子さんや瀬川瑛子さんとともに岡山県瀬戸内市の同園を訪れ、慰問コンサートを開催した。今年5月に始めた全国13か所の療養所慰問のうち、これが10か所目となる。日本初の国立療養所として1930年に開設された歴史的な園内で、杉さんは入所者に対し「こちらに参るのが少し遅れました。もっと早く来るべきだった」と声を掛けた。
歴史的背景と東京で開催される企画展の焦点
かつて多くの患者が強制隔離された同園では、入所者の高齢化が深刻化している。
日本人が受けた差別や偏見のほかにも、ハンセン病療養所をめぐっては深刻な現実があった。東京の国立ハンセン病資料館では、在日外国人の元患者の暮らしや生きた証しを伝える企画展が開催されている。同館の木村哲也学芸員によると、言葉の壁がある外国人にトイレのくみ取りやごみの回収といった肉体労働が強いられていたという。さらに、日本人入所者に侮られないよう、火葬場の係りなどを進んで引き受けていた人がいた事実も明らかになっている。
外国人入所者が残した「一朗道」の足跡
岡山の2つの療養所では、全入所者の約1割を占めるほど多くの外国人が生活していた。
長島愛生園の園内で新たな道路が必要となった際、土木部の主任を務めていた韓国人の具奉守(日本名:久保田一朗)さんが先頭に立って切り開いた道は、現在も「一朗道」と呼ばれその功績を伝えている。当時の園長が記念碑を建てたものの、そこには本名ではなく日本名が刻まれており、当時の複雑な背景を物語っている。
減少する入所者と消えない差別の現実
日本最大の敷地面積を持つ長島愛生園の現在地は、数字が物語る。
戦時中の1943年に入所者が2021人に達したが、現在は平均年齢が90歳に迫り、人数も63人に減少している。らい予防法の廃止から30年を迎える中、外国人入所者を含めた差別の実態をどのように次の世代へ伝えていくかが大きな課題となっている。3年前に国が実施した全国意識調査では、偏見や差別が依然として深刻な状況にあることが示されており、継続的な啓発活動の重要性が指摘されている。
命ある限り続ける福祉活動と強まる絆
公演後、杉さんは入所者一人一人と丁寧に交流した。

ベトナム訪問時に道端で苦しむハンセン病患者を目にしてから37年。デビュー前に歌を教わり15歳で刑務所慰問を始めるきっかけとなった故・近藤敏郎さんが同園を訪れていたことを知り、杉さんは深い縁を感じたと語った。「人は苦しくとも、なぜ生きる」という問いを立てた杉さんは、福祉活動を命ある限り続けていく決意を改めて表明した。