エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は、ハイチで武装ギャングに拉致された同国軍の航空技術者4名を救出するため、軍事作戦を開始したと発表しました。10月18日にポートープランス郊外で発生した武装集団による襲撃を受け、国際治安支援部隊が捜索と救出活動を強化しています。
10月18日の襲撃と行方不明の兵士たち
10月18日、ハイチの首都ポートープランス近郊のクロワ・デ・ブーケにおいて、国連が支援するギャング抑圧部隊(GSF)の装甲車両が武装集団の待ち伏せを受けました。車両は爆発物によって炎上し、乗車していたエルサルバドル軍の航空技術者4名が行方不明となりました。エルサルバドル軍の声明によると、彼らは物資の調達からキャンプへ戻る途中の出来事でした。この事態に対し、ハイチ政府は兵士の救出を「絶対的な優先事項」であると表明し、首相官邸で緊急会議を開催して、治安部隊との連携を強化する方針を示しました。
襲撃が発生したクロワ・デ・ブーケ周辺は、ハイチのギャングが強力な支配力を誇る地域です。この地域を牛耳るギャングには、ヴィテルオム・イノサンが率いる「クラーズ・バリエ」、ランモ・サンジョウが率いる「400マウォゾ」、そして「シェン・メシャン」が含まれています。これらの組織のリーダーたちは、国連および米国から制裁対象に指定されています。国連の報告によれば、今年1月から9月中旬までの間に、ハイチでは5,700人以上が死傷し、230人以上が拉致されるという極めて深刻な治安状況にあります。
ナジブ・ブケレ大統領による救出作戦の開始
ブケレ大統領は、X(旧Twitter)を通じてギャングに対する強い警告を発しました。大統領は、拉致された4名が戦闘員ではなく、医療搬送や人命救助を任務とする技術者であることを強調しました。その上で、彼らが無事に解放されない場合、軍事的な対応を辞さない姿勢を鮮明にしています。

ナジブ・ブケレ、エルサルバドル大統領
国際部隊の現状とハイチの治安
今回の襲撃は、国際的なギャング鎮圧部隊がハイチで活動を開始して以来、最も重大な攻撃の一つとみなされています。救出のための捜索活動に伴い、ハイチの治安部隊と国際部隊は現場周辺で激しい衝突を行っています。グローバル・イニシアチブ・アゲインスト・トランスナショナル・オーガナイズド・クライムのロマン・ル・クール氏は、「もし兵士たちが拘束されているのであれば、ギャング側は治安部隊に対する交渉の切り札を得たことになる」と指摘しています。.

現在、国連の承認を受けた治安支援部隊は5,500名規模の展開が許可されていますが、実際に現地で活動しているのは約2,000名程度です。この部隊には、エルサルバドルのほか、チャド、ジャマイカ、グアテマラなどが兵員を派遣しています。ハイチでは、10年以上ぶりとなる総選挙の準備が進行中であり、35以上の政治団体と3,500人以上の候補者が登録を済ませるなど、政治的な歩みは進んでいると国連特別派遣団のカルロス・ルイス・マシュー氏は報告しています。しかし、首都の約70パーセントを支配するギャングによる暴力が、選挙の実施と国家の安定化を脅かす最大の障壁となっています。
現時点で、拉致された4名の生死や、彼らが現在どこに拘束されているかといった詳細は依然として不明なままです。当局は、戦闘が続く危険な地域において、捜索活動とギャングの排除を継続しています。