高市早苗首相の内閣発足から1年を迎えた2026年10月21日、小沢一郎前衆院議員が東京都内で講演した。小沢氏は高市政権の支持率低下を指摘し、政権運営が「そう遠くなく行き詰まる」と予測。台湾有事を巡る首相の答弁を「右翼ごっこ」と批判し、日本の将来にとって危険だと警鐘を鳴らした。時事通信社が報じた。
内閣支持率の低下と政権の先行き
高市内閣は発足から1年が経過した。就任直後には60〜80%という高い内閣支持率を記録したが、小沢氏は最近の傾向について「低下している」と分析する。小沢氏は自身の見立てとして、8月をピークに人気は徐々に落ちており、政権運営は「そう遠くなく行き詰まる」との予測を示した。支持のあり方についても「タレントの好き嫌いと似たようなもの」と述べ、明確な理念や哲学が見えない中で、社会的な雰囲気で支持が左右されている現状を指摘した。
「台湾有事」答弁に見る右翼姿勢への懸念
講演の中で小沢氏が特に強く批判したのは、高市首相の台湾有事に関する国会答弁だ。昨年11月、台湾有事が起きた際に日本が「存立危機事態」に該当し得るとの認識を示したことについて、小沢氏は「大変なことだ」と語った。存立危機事態とは、安全保障関連法により、条件を満たせば他国への武力攻撃に対しても集団的自衛権を行使できる概念である。小沢氏は、これを「中国が軍事的行動を起こしたら日本が出兵する」という趣旨だと解釈し、憲法解釈を曖昧にしたままの拡大解釈は非常に危険だと主張した。
「右翼ごっこ」が招く国家の危機
小沢氏は、高市首相の政治姿勢を「右寄り」と評した上で、「右翼ごっこ」という表現を用いて強く非難した。戦前の昭和史を引き合いに出し、真の思想や世界的な抱負を伴わない口先だけの姿勢は「子どもの遊び」に過ぎないと切り捨てた。支持する若年層に対しても、「本当に中国と戦争になったら、戦場に行くのは君たちだ」と問いかけ、命を懸ける覚悟を伴わない右翼的な姿勢は、日本の将来にとって極めて危険な兆候であるとの認識を示した。
野党の現状と政権交代への意欲
野党のあり方に対しても、小沢氏は厳しい見解を述べた。2024年の衆院選で自民党が過半数を割った際、野党が結集して政権交代を実現する好機があったにもかかわらず、その意欲が欠けていたと指摘する。「野党がまとまって政権をつくれ」と主張し続けてきた小沢氏だが、現在は当時の気力も失せているという。細川連立政権の時代を引き合いに出し、現在の野党は政府のご機嫌取りに終始する「大政翼賛会みたい」な状態であり、対決すべき理念的な対立軸が見えなくなっていると嘆いた。
生存の基盤となる食料とエネルギー
出席者からの質問に対し、小沢氏は人口減少問題を国が成り立たなくなる最大の懸念事項に挙げた。その上で、国家の生存に欠かせない食料とエネルギー政策への本気度を問うた。
- 食料:農家が継続可能な価格設定と、食料自給の重要性
- エネルギー:風力、水力、地熱、太陽光への転換の必要性
- 原発:高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題の未解決
小沢氏は、原発の是非以前に、廃棄物の行き場がない現状を放置したまま運用を続けることは不可能だと強調した。
再び政治の表舞台へトライする可能性
今後の自身の動きについて、小沢氏は「嫌気が差している」としつつも、若い仲間の育成や将来の混乱に備える必要性に言及した。「与野党共にガラガラポンになれば一番いい」と語る一方で、現実には変な状態が続く可能性も否定できない。それでも小沢氏は、自身の経験を踏まえ、「もう一度、勇を奮い起こして、トライしてみるかなという風に思いつつある」と、政局の行方を見据えながら再び政治的役割を担う可能性を示唆した。今後、高市政権が混乱に陥った際、政界再編の動きが加速するかどうかが焦点となる。